いつもと同じようにエアコンを使っていると室内機本体から水が漏れてきて驚いてしまうことがあると思います。
室内機からのエアコン水漏れは、排水経路の異常(詰まり、逆勾配など)や冷媒ガス漏れ、内部の汚れ、送風経路パーツの結露など様々な原因が考えられます。
今回は、室内機から水が漏れてくるメカニズムと水漏れ原因別の修理方法について詳しくお話していきます。
【室内機水漏れ原因①】ドレンホース詰まりによる水漏れ
室内機本体からの水漏れトラブルの中で一番多いのが、ドレンホースの詰まりが原因の水漏れです。
ドレンホースとは、室外機の辺りにある灰色の蛇腹形状の排水ホースのことで、何らかの理由でこの排水ホースが詰まってしまうと、エアコン室内機本体の方で水が漏れが発生してしまいます。
ところで、エアコン室内機から漏れてくる水の正体は一体何なのでしょうか?
エアコンが冷房運転を行う際、室内機の内部にあるアルミフィン熱交換器は冷媒ガスによってキンキンに冷やされます。
室内機は部屋の熱い空気を吸い込んでその冷えたアルミフィンの隙間を通過させることにより空気を冷やし、冷えた空気を送風ファンで吹き出す事によって部屋を冷やすという仕組みで動いています。
部屋の空気がアルミフィンを通過する際、冷えたアルミフィンに触れることで空気中の水分がアルミフィンに結露して付着します。
これはちょうど夏場に氷を入れたガラスのコップの表面に水滴がつくのと同じ原理となっています。
アルミフィンに付着した水分はフィンをつたって下に流れていき、アルミフィンの下にあるドレンパン(露受皿)に落ち、最終的にはドレンホースを通って室外に排出されます。
真夏日に冷房運転を行った場合、一般的なルームエアコンでも一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水が発生しています。
何らかの原因でこの排水経路が詰まってしまった場合、この結露水がドレンパンから溢れてしまい、エアコンから水が漏れてくることになります。
エアコンから水が漏れてきた時、配管の中に封入されている冷媒ガスなどが漏れ出てきたのではないかと心配する人もいるのではないかと思います。
ですが、エアコンから漏れてくる水は基本的にはアルミフィンについた結露水(ただの水)が漏れ出てきているだけとなりますので、安心してください。
一般的に、ドレンホースのつまりについては、サクションポンプや掃除機などを使えば水漏れを解消することができます。
この場合の具体的な修理方法については、こちらの記事が参考になります。
>>【エアコン水漏れの原因】ドレンホース詰まりを自分で掃除する方法
【室内機水漏れ原因②】ドレンパン出口部の詰まりによる水漏れ
エアコンには、室内機本体内部にあるアルミフィンで発生する結露水を受けるドレンパンというパーツ(上の写真)があり、このドレンパンからの結露水の排水経路(特にドレンパン出口部分)が何らかの原因で詰まってしまうと、エアコン室内機から水漏れが発生してしまいます。
ドレンパンとは、エアコン室内機のアルミフィンの下側に配置されている部品のことで、夏場の冷房運転やドライ運転時にアルミフィンに発生する露を受け止めています。
ドレンパンで受け止めた露はドレンホースに流れていき、最終的には室外に排出される仕組みになっています。
このドレンパンの出口部分(ドレンホースとつながる部分)は、外部から虫などが入ってこないようにするために穴の径が小さく、詰まりやすい構造になっています。
万が一、ドレンパンの出口部分が詰まってしまうと、行き場を失った水がドレンパンから溢れ出し、室内機から水が漏れてきてしまうことになります。
原因1のところでお話したドレンホースのつまりとドレンパンのつまりは水漏れ症状が似ているのですが、以下の手順で室内機から出ているドレンホースを切り離して確認すると、室内機側から水が流れてこないのが特徴です。
例えば、エアコン室内機(写真右側)の方からちゃんとドレン水が排水されてきているのであれば、そこから先(写真左側)のドレンホースが詰まっているということになります。
逆に、エアコン室内機側からドレン水が排水されてこない場合、ドレンパンの詰まりが原因である可能性が高いと判断することができます。
この他に、室内機の本体カバーを取り外して、ドレンパン出口部分に異物がないか目視確認していく方法もあります。
機種によってはドレンの排出口を目視できないこともありますので、その場合はドレンパンを取り外すところまで分解して、ドレンパンにつまりがないか確認していく必要がある場合もあります。
このようにエアコンを分解してつまり箇所を目視し、排水経路のどの部分で詰まりが発生しているか原因の特定をしていくことになります。
ドレンパンつまりの修理方法については、こちらの記事が参考になります。
【室内機水漏れ原因③】排水パーツの破損による水漏れ
エアコン内部にはアルミフィン熱交換器で発生する露を屋外に排出するために、ドレンパンやドレンホースなどの排水パーツが取り付けられています。
アルミフィンで発生した露はドレンパン(ドレン皿)で受け止められ、ドレンホースを通って室外に排出されていきます。
何らかの原因で、排水パーツが破損してしまったり、部品同士の接続部が緩んでしまったりした場合、室内機本体から水が漏れてきてしまうことになります。
排水パーツ破損の場合の水漏れ症状は以下の通りとなります。
排水系のパーツが破損してしまった場合、エアコンの吹出口や本体底面などからエアコン動作中は連続的にポタポタと水が漏れてくるのが特徴です。
水漏れ量としては完全にパーツが破損してしまっている場合だと、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。
ここまではドレンホースやドレンパンの詰まりが原因の場合と同じなのですが、排水系パーツ破損の場合は室内機ドレンパンの中に水はたまりません。
エアコンの前面パネルを開けてフィルターを取外し、ペンライトなどでアルミフィンの下を照らしてみるとドレンパンが見えますので、そこに水が溜まっているかどうか確認してみましょう。
室内機から比較的多量の水漏れが発生しているけれども、室内機のドレンパンに水が溜まっていないというような場合は、排水系パーツの破損となります。
この場合の修理方法は、部品交換や水漏れ箇所のシーリング補修となります。
【室内機水漏れ原因④】冷媒ガス漏れによる水漏れ
ルームエアコンの配管内にはおおよそ1kg前後の冷媒ガスが封入されています。
何らかの理由でこの冷媒ガスが漏れて少なくなってしまった場合、室内機内部配管などの異常冷却によって予期していないところに結露が発生し、その結露水が垂れて室内機から漏れてくることがあります。
エアコンは部屋の中にある熱を室内機で冷媒の中に取り込み、冷媒を使って室外機まで運んで室外機で熱を吐き出すという仕組みで動作しています。(冷房運転時)
通常の冷房運転時に発生するアルミフィンなどに付着する結露水はドレンパンなどで回収され、ドレンホースを通じで室外に排出される仕組みになっています。
ですが、冷媒ガス漏れによって室内機本体内部の本来結露が発生しないような箇所に発生してしまった水滴については、ドレンパンでキャッチすることができないため、室内機の外に漏れ出してしまうことになります。
冷媒ガス漏れの場合の水漏れ症状は以下の通りとなります。
水漏れの原因が冷媒ガス漏れの場合、エアコンの吹出口やルーバー辺りから水がポタッ・・・、ポタッ・・・と漏れてくるのが一般的です。
水漏れ量としては排水経路異常(ドレンホースやドレンパンの詰まりなど)のときよりも少なく、多くても2~3秒に1~3滴程度といった感じになります。
ガス漏れの場合、室外機の配管(細い方)が氷点下以下まで温度が下がるため、霜が発生して真っ白くなってしまうのが特徴です。
通常の場合、この配管に液体の露がつくことはありますが、凍って白くなることはまずありません。
この他に、エアコンの冷媒ガスが漏れると、エアコンの効きが悪くなってきます。
水漏れの発生前後で、最近エアコンの効きが悪くなってきたなぁと感じたのであれば、ガス漏れが原因の水漏れである可能性が高まります。
冷媒ガス漏れの原因や具体的な修理方法については、こちらの記事が参考になります。
次のページでは、エアコン室内機の水漏れ原因⑤~⑧についてお話していきます。