水漏れ

エアコン室内機本体からの水漏れ原因を徹底解説


【室内機の水漏れ原因⑤】排水経路の逆勾配による水漏れ

エアコンの配管はドレン排水のため傾斜をつける

エアコンには、室内機本体内部で発生する結露水を室外に排出するための排水経路があります。

エアコン本体が水平に取り付けられていない場合や、配管が逆勾配になってしまっているような場合、室内機本体から水漏れが発生することがあります。

エアコンから冷たい風が出るメカニズム

エアコンの室内機は、冷房運転時、部屋の熱い空気を冷えた熱交換器に送り込んで冷やし、冷やされた空気を吹出口から吐き出すという仕組みで動いています。

エアコンドレンパンと結露水排出のイラスト図

この際、冷えたアルミフィン熱交換の表面にはたくさんの結露水が発生し、それがドレンパンに流れ落ち、その後ドレンホースを通って室外に排出されています。

ドレンパン(赤で囲った部分)は単純に上にあるアルミフィンから落ちてくる水を受け止めるだけの構造になっていて、通常、右側にあるドレンホース接続口に流れていきます。

エアコンの水漏れ原因のドレンパン

このドレンパンの水を受ける部分は水平で傾斜がついているわけではないため、ドレンパンに置いた水が溜まってくると自然に横向かって流れていくというイメージです。

エアコン本体が水平ではなく右上がりに取り付けられていたような場合、ドレンパンの水は左側に流れていってしまうことになり、ドレンパンから溢れ出し、室内機本体からの水漏れに繋がります。

この他に、エアコン室内機に繋がっているドレンホースの勾配について、どの部分においても上から下に向かって水が流れるように施工する必要があります。

稀に壁貫通部の穴が室内から室外に向かって上向きになってしまっていたり、配管の取り回しで逆勾配にされてしまっているケースがあります。

ドレンホースの逆勾配

ドレン配管が逆勾配になってしまうと、水が流れていかなくなるため、室内機で発生した結露水がうまく室外に排出されなくなり、室内機からの水が漏れる原因となります。

「少々の逆勾配なら水は流れていくので問題ないのでは?」と思う方がいるかも知れませんが、逆勾配部分には汚れも溜まりやすくなるため、ほんのちょっとの逆勾配でも水漏れ原因になってしまうことがありますので、注意して逆勾配部がないか観察する必要があります。

エアコンからの水漏れ場所

逆勾配が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。

逆勾配が原因の場合、エアコンの吹出口や本体底面などからエアコン動作中は連続的にポタポタと水が垂れてくるのが特徴です。

水漏れ量としては逆勾配がきつい状態だと、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。

室内機からの水漏れが発生していて、エアコンの冷房やドライ運転中に室外の排水ホースから排水がない、室内機のドレンパンに水が溜まっているというような場合は、排水経路の逆勾配を疑っていきましょう。

排水経路の逆勾配が水漏れの原因である場合、エアコン本体は水平に、ドレン配管は順勾配(水が流れる傾き)となるよう施工し直す必要があります。

正しい配管勾配のエアコン

パット見た感じエアコンは水平に取り付けられているように見えても、水平器で傾きをチェックしてみるとエアコンが傾いてしまっていたりすることもあります。

これは建物そのものが傾いてしまっていてるような稀なケースとなりますが、思い込みは捨てて水平器などの計測器を使ってエアコン本体は水平に、配管は順勾配になるよう設置していくことが重要です。

【室内機の水漏れ原因⑥】外気の逆流(高気密住宅)による水漏れ

最近少しづつ増えてきたのが、高気密住宅で発生するドレンホース内を外気が逆流することが原因の水漏れです。

エアコンの室内機は、冷房運転時、部屋の熱い空気を冷えた熱交換器に送り込んで冷やし、冷やされた空気を吹出口から吐き出すという仕組みで動いています。

エアコンドレンパンと結露水排出のイラスト図

この際、冷えたアルミフィン熱交換の表面にはたくさんの結露水が発生し、それがドレンパンに流れ落ち、その後ドレンホースを通って室外に排出されています。

通常であれば上記のような流れで結露水が室外に排出されていくのですが、最近増えてきている高気密住宅で、窓を締め切った状態で換気扇を回したり、強風などでドレンホース側に正圧が発生したりすると、ドレンホースからエアコンに外気が逆流してしまうことがあります。

外気がドレンホースを逆流して水漏

通常、外気の逆流が起こっただけだと「ポコ、ポコ、ポコ・・・」という音がエアコンから聞こえてくるだけで室内機から水漏れが発生することはあまりありません。

ただし、もともとドレンパンが汚れ気味で水の排水がうまくいっていなかったような場合、この逆流する外気がドレン排水の流れをさらに邪魔してしまい、水漏れを引き起こしてしまうことがあります。

エアコンからの水漏れ場所

外気の逆流が水漏れ原因の場合、窓を締め切った時だけエアコンの吹出口や本体底面などから水が漏れてくるのが特徴です。

水漏れ量は多めで、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。

高気密住宅で窓を締め切ったときにだけポコポコと音を立てながら水が漏れてくるような場合は、外気の逆流による水漏れを疑っていきましょう。

ドレンホース内の外気の逆流が水漏れの原因である場合、換気扇などをつける際に窓を開けるなどをすれば水漏れが収まります。

この他に、エアカットバルブ(おとめちゃんなど)をドレンホースに取り付けることで水漏れが解消されることがあります。

エアカットバルブおとめちゃんでエアコンのポコポコ音解消

エアーカットバルブをエアコンのドレンホースに取付

ただし、外気の逆流だけが原因で室内機からの水漏れが発生することはありませんので、ドレンパンの汚れや配管の逆勾配、エアコンの傾きなど、なにか別の要因も絡んでいることが多いのが実際です。

このエアカットバルブの設置はあくまでも応急処置という形になることに注意が必要です。

【室内機の水漏れ原因⑦】配管断熱材の劣化による水漏れ

稀なケースですが、室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置しているケースにおいて、冷媒配管断熱材の劣化部分から侵入した雨水が冷媒配管と断熱材の間を流れ、室内機本体部分で漏れ出てくることがあります。

雨水が侵入して室内機から水漏れ

室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置した場合、冷媒配管は上記のような形で配置されることになります。

そして、設置から数年が経過すると、冷媒配管を保護しているビニールテープや断熱材が劣化して破れ、銅配管が露出してきます。

この状態で雨などが降った場合、銅配管と断熱材の隙間に雨水が入り込み、エアコンの室内機側まで流れていき、その部分で雨水が漏れ出してくることがあります。

雨水の侵入によるエアコン水漏

配管断熱材の劣化が水漏れ原因の場合、雨が降ったときだけエアコンの底面や壁面あたりから水が漏れてくるのが特徴です。

配管断熱材の劣化が水漏れの原因であった場合の修理方法としては、屋外配管の劣化部分を補修(断熱材の交換、ビニールテープの巻き直し)します。

配管カバーを追加してエアコン配管に雨水がかからないようにしておくと、こういった雨水が原因の水漏れを予防することが可能です。

【室内機の水漏れ原因⑧】故障ではないフラッパーからの水漏れ

冷房運転時、エアコンから吹き出す風を下向きにし続けると、フラッパーが冷えて結露し、その水滴が落ちてくることがあります。

通常、エアコンの冷房運転時はフラッパーは上向き(冷風が真横に吹き出す向き)に調節されるようになっています。

エアコンのフラッパーを上向きにする

ですが、手動でフラッパーの向きを下向きに変えた状態で冷房運転を続けてしまうと、冷風がフラッパーに直接当たり、冷風で冷やされたフラッパに結露水が発生することがあります。

フラッパーについた結露水が垂れて水漏れする

部屋の湿度がかなり高い場合、そのフラッパーに付いた結露水が垂れて落ちてくることがあります。

この場合、特にエアコンが故障しているわけではないため、フラッパーを上向きにすれば水漏れ症状が収まりますので、一度確認してみてください。

まとめ

今回は、【エアコン】室内機本体からの水漏れ原因を徹底解説についてお話しました。

エアコン室内機からの水漏れの多くは、ドレンホースやドレンパンのつまり、そして冷媒ガス漏れが原因となっていることが多いです。

水漏れはエアコンが使えなくなるだけではなく、部屋の壁や床を炒めてしまう原因にもなります。

早め早めに修理点検をしてもらうようにしましょう。

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