エアコンの室外機の中にある四方弁は、冷房と暖房の冷媒ガスの流れを切り替えるために使われている部品です。
四方弁が故障した場合、暖房運転を行っているのに室内機から冷たい風が出てきたり、冷房運転を行っているのに室内機から暖かい風が出てきたりしてしまいます。
今回は、この四方弁の動作原理と故障原因について詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
四方弁の動作原理
エアコンは室外機の中にある「四方弁」と呼ばれる弁を切り替えることによって冷媒の流れを変えることによって、冷房運転と暖房運転を切り替えています。
冷房運転時の冷媒の流れ
暖房運転時の冷媒の流れ
四方弁は弁のONとOFFを切り替える電磁コイルに電気を流したときに暖房の回路に切り替わり、電磁コイルに電気が流れていないときは冷房の回路のままになっているのが一般的です。
故障による不具合の例
冷房回路のまま弁が固着してしまっていたり、電磁コイルが故障して弁を切り替えることができなくなってしまった場合、エアコン本体は暖房運転をしようとして四方弁を暖房回路に切り替えたつもりでも、実際の四方弁は冷房回路のままになってしまいます。
この四方弁故障の場合、不具合が出るのは暖房の場合のみで、冷房の場合は特に問題なく動くというのが特徴です。
一般的に四方弁が故障した場合はエアコンの方にエラーコード表示が表示され、動作停止してしまうことが多いですが、エアコンが故障を検知するまでに時間がかかってしまう場合があります。
暖房をつけたのに温かい風ではなく冷たい風が出てきているという場合は四方弁の不具合が疑われます。
具体的な修理方法や費用の相場
四方弁故障の場合の修理料金の相場は以下の通りです。
電磁コイルの故障 | 四方弁本体の故障 | |
---|---|---|
修理方法 | 電磁コイルの交換 | 四方弁の交換 (ロウ付け) |
料金相場 | 1~3万円 | 8~17万円 |
備考 | 可能性は低い、 メーカー保証(5年)の 可能性有 |
※修理費用の相場はメーカーサポートに依頼した場合のおおよその金額となります。
単純に電磁コイル側の故障(レアリークやサビなどによる経年劣化の場合が多い)であれば電磁コイルを取り替えるだけで修理は完了します。
電磁コイルの方は故障していないけれども、四方弁本体のほうが故障してしまった場合は溶接を伴う交換修理が必要となります。
この場合、修理費用が高額になってしまいますので、各種保証が切れてしまっている場合はエアコンの買い替えを検討したほうがいいでしょう。
まとめ
エアコンの四方弁は室外機の中にある冷媒ガスの流れを切り替える部品で、この四方弁が故障した場合の症状は、暖房時に冷たい風が出てきたり、冷房時に暖かい風が出てきたりします。
電磁コイルの故障であればネジを取り外していくだけの単純な部品交換で済みますが、四方弁本体の故障の場合はロウ付けを伴う部品交換となりますので、修理費用が高額になる可能性もあります。
この場合はエアコンの買い替えも同時に検討していく必要があるでしょう。
ただし、冷媒回路のメーカー保証は5年間となっていますので、保証期間内であれば無償修理になる可能性もありますので、ご参考まで。