夏場のエアコントラブルで多いのが室内機からの水漏れで、その原因の多くはホコリやカビの塊、虫の死骸などが排水経路(ドレンホースやドレンパン)で詰まってしまうこととなっています。
エアコンは水漏れを起こしていても冷房は使える(部屋を冷やすことはできる)事が多いのですが、水漏れ症状が自然に解消されていくことは滅多になく、逆につまり箇所がどんどん塞がっていき、水漏れが悪化していってしまうことがほとんどです。
ドレンホースの詰まりについてはサクションポンプと呼ばれる道具を使えば比較的簡単に解消することができますが、室内機内部の奥の方にあるドレンパンという部品が詰まってしまった場合は分解洗浄して詰まりを取り除く必要があります。
この記事では、エアコンから水が漏れるメカニズムから排水経路の詰まりを取り除く3つの掃除方法について紹介していきます。

管理人「taichan」
エアコン工事は実家の家業。メーカー勤務(研究開発職)で特許出願も経験し、現在は第一種冷凍機械責任者、電気工事士(第一種)、そして子沢山の大家族(子6人)となりました。
エアコンから水漏が漏れる原因
エアコンのドレンパン(露受皿)とは、室内機のアルミフィン熱交換器(冷房や除湿、ドライ運転で冷たくなる部分)で発生する結露水を受け止めるために取り付けられているパーツです。
最近のエアコンはアルミフィン熱交換器が前と後ろに取り付けられているため、ドレンパンも2つ取り付けられているのが一般的です。
ただし、メーカーや機種によっては下記のように前後のドレンパン(赤枠内)と送風ファンの取り付け部が一体化したものがあったりします。
このドレンパンの出口部分にはドレンホース(アイボリー色の蛇腹形状のもの)が接続されていて、ドレンパンに溜まった結露水はこのドレンホースを通って室外に排出される仕組みになっています。
真夏日に冷房運転を行った場合、一般的なルームエアコンでも一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水が発生しています。
ドレンパンの排水出口部(ドレンパンとドレンホースが接続される部分)は、害虫などがドレンホースを通って室内に侵入してこないようにするため、排水経路の穴の内径はドレンホースの内径より小さくなっていることがあります。
通常であれば結露水を排水するのに十分な大きさなのですが、アルミフィン熱交換器に付着していた汚れ(ホコリやカビ汚れなど)が結露水と一緒にドレンパンに落ち、それがスライム状になってこのドレンパンの排水出口部を塞いでしまうことがあります。
稀に、小さなゴキブリなどの昆虫が室内機側からエアコンに侵入して、ドレンパン出口あたりを塞いでしまっているということもあったりします。
こうなってしまうと発生した結露水は室外に排出されずにドレンパンに溜まっていき、最終的にはドレンパンから溢れ出し、室内機の底面などから水漏れが発生します。
これがドレンパン詰まりによるエアコン水漏れの原因となります。
排水経路が詰まった場合の主な水漏れ症状
エアコンの排水経路(ドレンホースやドレンパンなど)が詰まってしまった場合の水漏れ症状としては、エアコンの吹出口やルーバー、室内機の底面、エアコンを取り付けている壁面あたりから水が漏れてくるのが一般的です。
エアコンから漏れてくる水の量は1秒間で1~2滴も出てくることもあるので、気づくのが遅ければエアコン下の床はビショビショに濡れてしまっているでしょう。
ドレンパンが詰まってしまうと室内機のアルミフィン熱交換器下側に配置されているドレンパンに水がたっぷりと溜まっていると思います。
ドレンパンに水が溜まってしまっているかどうかの確認方法としては、まず、室内機の前面カバーを開いてフィルターを取り除き、アルミフィンの下にあるドレンパンに水が溜まっているかどうか確認してみるとよく分かると思います。
狭くて見えにくい場合もあると思いますが、この隙間からドレンパンの水のたまり具合を確認することができます。
排水経路に詰まりがない場合、ドレンパンの中に水が溜まっているということはありません。
ですが、排水経路につまりがある場合、この部分から見えるドレンパンの中にたっぷりと水が溜まって、そこから水漏れが発生していると考えられます。
なお、室内機が高いところにあったりする場合は、室外機のドレンホースから排水があるかどうかを確認するのも一つの手です。
エアコンを冷房運転(温度は最低、風量は最大)を行い、30~40分後にドレンホースから水がポタポタ落ちてくるか確認してみてください。
排水経路が詰まってしまっている場合はこのドレンホースからはほとんど水が出てこなくなっていると思います。
この部分も合わせて確認しておくと、水漏れの原因が排水経路(ドレンホース、またはドレンパンなど)であることが確認できます。
詰まり箇所の特定方法
先ほどお話したとおり、エアコンの吹出口やルーバー、底面、壁面から大量の水が漏れてきた場合、その主な原因はドレンパンやドレンホースなどの排水経路の詰まりとなります。
ただし、ドレンパンとドレンホース、どちらが詰まっても同じようなところから水漏れが発生してしまうため、排水経路のどこが詰まって水漏れしているのか判断がつきにくい場合があります。
このような場合、排水経路のどの部分で詰まりが発生しているのか特定していく必要があります。
具体的な方法としては、まずエアコン配管のカバーやビニールテープを取り外し、室内機から伸びているドレン配管と、ドレンホースの接続部が見えるようにします。
そして、このドレンホースの接続部を取り外し、室内機側からドレン水が正常に排水されているかどうかを確認していきます。
この時、エアコン室内機(写真右側)の方からちゃんとドレン水が排水されてきているのであれば、そこから先(写真左側)のドレンホースが詰まっているということになります。
逆に、エアコン室内機側からドレン水が排水されてこない場合、ドレンパンの詰まりが原因である可能性が高いと判断することができます。
この他に、室内機の本体カバーを取り外して、ドレンパン出口部分に異物がないか目視確認していく方法もあります。
機種によってはドレンの排出口を目視できないこともありますので、その場合はドレンパンを取り外すところまで分解して、ドレンパンにつまりがないか確認していく必要がある場合もあります。
このようにエアコンを分解してつまり箇所を目視し、排水経路のどの部分で詰まりが発生しているか原因の特定をしていくことになります。
次のページでは、エアコン水漏れ修理の具体的な方法についてお話していきます。