突然のエアコンからの水漏れ・・・
このエアコン水漏れの多くは、エアコンのドレンホース(室内機で発生する結露水を室外に排出するための排水ホースのこと)が原因になっていることがほとんどです。
エアコン水漏れで一番多いのがドレンホースの詰まりが原因になっていることが多いのですが、稀にドレンホースそのものの破損や劣化損傷が原因で水漏れが発生してしまっていることがあります。
そういったエアコン水漏れを放置してしまうと、漏れてきた水が壁や床材に入り込んで腐らせてしまったり、カビだらけにしてしまうことも・・・。
今回は、そんなドレンホースそのものの劣化や破損の原因や、具体的な交換修理の方法についてお話していきます。
エアコン結露水の排水メカニズム
エアコンの室内機の中にはアルミフィン熱交換器という部品があり、冷房や除湿、ドライ運転をした場合、この部分がキンキンに冷えて冷たくなるため、アルミフィンの表面にはたくさんの結露水が発生ます。
ここで発生した結露水はドレンパンというパーツで受け止められた後、ドレンホースを通って室外に排出される構造になっています。
夏場、屋外に設置されている室外機あたりにあるドレンホースの先端からポタポタと出てきている水は、室外機で発生したものではなく、室内機の方で発生した結露水ということになります。
真夏日にルームエアコンで冷房運転を行った場合、一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水がドレンホースから排出されています。
何らかの原因でドレンホースに穴や破れができてしまった場合、エアコン配管付近から大量の水が漏れてきてしまうということになります。
ドレンホースからの水漏れの2つの原因
ドレンホースからの水漏れの原因は大きく2つの種類に分かれます。
- 破損損傷による水漏れ
- 取り付け不良による水漏れ
破損損傷による水漏れ
ドレンホースは紫外線に当たる状態で使用すると3~5年程度で固く、触るとボロボロ割れてちぎれてしまうような状態になってしまいます。
屋外側のビニールテープが巻かれていない部分や、配管カバーから出ている部分などは長期使用によるれっかでドレンホースが破れ、その部分から水が漏れたりします。
ドレンホースの屋内設置部やカバー、ビニールテープに隠れた部分は直射日光が直接当たらないため、紫外線によるドレンホースの劣化はほとんど進ます、何もなければ10年以上水が漏れてくることはありません。
稀に害獣’(ネズミなど)がドレンホースをかじって破ってしまっていたりした場合、室内側のドレンホースから水が漏れ出してしまうこともあります。
取り付け不良による水漏れ
ドレンホースは室内機付近で接続されています。
この部分の施工方法としては、ドレンホースを差し込んだ後、ビニールテープで巻きつける方法となっており、ドレンホースの差し込みがあまかったり、ビニールテープが巻かれていなかったりすると、この部分で水漏れが発生することがあります。
ドレンホース破損が原因の水漏れ症状
ドレンホース破損が原因の場合は、以下の場所から水漏れが発生する傾向があります。
- ドレンホースの表面(屋外など直射日光が当たる場所の場合)
- エアコン配管の表面(ビニールテープ巻きや配管カバーの隙間など)
- エアコン配管の壁貫通部
- 天井(配管が天井上に配置されている場合)
なお、エアコン室内機から水漏れが発生しているような場合は、ドレンホース破損が原因ではないことがほとんどです。
エアコン水漏れの応急処置手順
エアコンから水が漏れてきた場合、驚いて混乱してしまうことと思います。
ただ、漏れた水をそのままにしてしまうと床や壁、家具などを痛めてしまうこともありますので、まずは一旦落ち着いて、下記の手順で水漏れに対処していきましょう。
エアコンをOFFにする
エアコンの水漏れが発生したらまずは一旦エアコンの電源をリモコンでOFFにします。
エアコンの運転が止まればこれ以上配管で結露水が発生することがなくなりますので、水漏れの被害を最小限に抑えることができます。
エアコンの電源コードを抜き取る
エアコンの電源コードがコンセントに差さったままだと、水漏れの対処中に感電してしまう可能性があります。
電源コードの周りが水で濡れていないことを確認し、電源コードを抜き取っておきましょう。
ただし、電源コードやコンセントの周りも水で濡れてしまっている場合は感電する恐れがありますので、絶対にコンセントには触れないようにしてください。
この場合は、分電盤の中にあるエアコンコンセントに繋がるブレーカーを落としてエアコンに流れる電気を遮断していきます。
ルームエアコンの場合、電源は室内機側のコンセントのみとなっていますので、ここまで作業ができたらエアコンに電気は流れていないことになります。
エアコンの下に置かれているものを移動する
水漏れを起こしているエアコンや本体に繋がっている配管の中にはまだたくさんの水が溜まっている可能性があります。
エアコンを停止させて一旦は水漏れが収まっても何らかの拍子で溜まっている水が漏れてくる可能性がありますので、エアコンの水漏れ修理が完全に終わるまでは配管の下に置かれている家具家電を別の場所に移動させておきましょう。
垂れてきた水を拭き取る
バケツや雑巾を準備して、床や壁などに垂れた水を拭き取ります。
また、エアコンが完全に停止してしばらくの間(5~10分程度)は水が漏れてくる可能性がありますので、その場を離れないようにしましょう。
特に壁や床は濡れたままにしておくと傷んで修理が必用になることもありますので、水気をしっかりと拭き取っておいてください。
なお、エアコン本体についている水滴については、感電の危険がありますので、エアコンのコンセントを抜くことができている、またはエアコンコンセントのブレーカーを切る事ができている場合以外は、拭き取らないでそのままにして業社の人に処理してもらいましょう。
管理会社や大家さんに連絡する(賃貸住宅の場合のみ)
一通りの応急処置が終わったら、次はエアコン水漏れの修理依頼をしていく必要があります。
持ち家のエアコンが壊れた場合の修理費用は自己負担が基本(保証が残っている場合は別)となりますが、もともと賃貸住宅(アパート、マンション、借家)などに取り付けられていたエアコンが故障した場合は、管理会社や大家さんの負担になることもあります。
賃貸住宅の場合、勝手に修理を依頼してしまうと修理費用が自己負担になってしまうこともありますので、まずは管理会社や大家さんに連絡することからはじめていきましょう。
賃貸住宅などでの水漏れトラブルを放置してしまうと、壁や床が傷んでしまって余計な修理費用が発生する可能性もありますので、早め早めに対処するのが鉄則です。
ドレンホース交換修理の具体的な方法
ドレンホースが劣化したり破れて破損しまっていることが水漏れの原因となっている場合、ドレンホースそのものを交換修理する必要があります。
ドレンホースを全交換する方法
ドレンホースは室内機からおおよそ1m付近の部分で接続され(ビニールテープ固定)ているため、配管をグルグル巻きにしているビニールテープなどを取り外しますた後、その接続部分でドレンホースを切り離します。
新しいドレンホースをエアコン側に挿入し、ビニールテープで固定します。
室内側のドレンホースには結露防止の断熱材も忘れずに巻いておきす。
この断熱材を巻き忘れてしまうと、ドレンホースの外表面に結露が発生し、その水滴が垂れて別の水漏れの原因となってしまいます。
配管一式をビニールテープで仮止めし、その後幅の広いタイプのビニールテープで冷媒配管やドレンホース全体を隙間なく巻きつけていけばドレンホース交換は完了となります。
なお、幅広ビニールテープを使った配管巻きつけは配管の劣化防止のための作業ですので、配管カバーに納める場合は幅の狭いビニールテープで仮止めして配管カバーの中に収めるだけとなるのが一般的です。
ドレンホースの劣化部分のみ交換する方法
劣化した屋外側ドレンホースの一部分のみを交換する場合は、まずはじめに劣化したドレンホースを0.5m毎にあるつなぎ目の部分でカットします。
そこに新しいドレンホースをしっかりと挿入して繋ぎます。
この接続部にビニールテープを巻いていき、漏れや抜けがないようにすればドレンホースの接続は完了です。
ドレンホースの種類や耐久性について
エアコンのドレンホースには、配管サイズや耐久性能の違いなどによっていくつかの種類があり、適切なドレンホースを選ぶことによって、今後の水漏れリスクを大幅に低減していくことができます。
ドレンホースのサイズ(φ14、φ16、φ18)
一般的なエアコンのドレンホース接続部ジョイント(室内機から1m前後のところにある、下の写真の右から伸びてきている部分)の外径は主に14mm、16mm、18mmの3種類があります。
この部分からドレンホースを交換していく場合は、エアコンの据付説明書で必要となるドレンホースの接続口サイズ(呼び径は内径表示)を確認したりして、そのサイズに合ったドレンホースを用意するひつようがあります。
例えば、上記のドレンホースの場合、ドレンホースの内径はφ14mm(外径φ18mm)となっていますが、エアコン側接続部はφ16mmとφ18mmに対応しています。
- 内径16mm(外径21mm)のドレンホース
→エアコン側接続部の外径16mmと18mmの両方に対応可能
このカット部分はドレンホースは0.5m毎に作られていて、どこでカットすることでホースの内径を調整することができます。
例えば、下記の部分でカットすれば、内径16mmの接続口を作ることができるというイメージです。
ドレンホースはホースそのものの内径と、エアコン接続部の内径(カット位置で調整)という感じでサイズの種類が分かれていることを覚えておきましょう。
ドレンホースを途中で延長接続する場合は、既存のホースの接続口部分をハサミで切り、切ったホースの端が内径16mmの場合は18mm側を、内径18mmの場合は16mm側を差込むというような形でドレンホース同士を接続することもできます。
このようにエアコンのドレンホースはこの接続部のサイズを事前に確認しておけば、簡単に挿入接続ができるような形状となっています。
この他に、ドレンホース用のジョイントを使えば、任意の部分でドレンホースをカットしたり、内径18mmのドレンホースと内径14mmのドレンホースなどの大きく内径の違うもの同士をつないだりすることができます。
ドレンホースの耐久性(3~5年)
ドレンホースには耐久性の麺において、普通の安価なタイプと、耐候性の物(表面はアイボリー色、内面は黒色のものが多い)があります。
以前は安いタイプのドレンホースも売られていましたが、最近のホームセンターなどで売られているドレンホースはほとんどが耐候性のものになってきています。
ただ、耐候性のドレンホースも5年ぐらいしてくると徐々に劣化してくるため、日に当たる部分はより耐久性のある塩ビパイプ(ドレン管、ドレンパイプ)で排水するというのも一つの手です。
塩ビパイプは自由に曲げることができないため室内機からすべて塩ビパイプで接続するというのは難しいですが、屋外側だけであれば塩ビパイプ(直管、曲がりジョイント、固定用サドルなど)を使って排水経路を作成することが可能です。
塩ビパイプの接続には専用の接着剤を使いますので、接続部分からの水漏れの心配はありません。
エアコン排水経路としてドレンホースの代わりに塩ビパイプを使った場合、多少の表面の色落ちなどはしてくるものの10年以上は十分に使っていくことができます。
例えば、2Fや3Fの部屋にエアコンを付けてドレンホースは地上まで延長しているというような場合、次回のエアコン取替(だいだい10~13年ぐらいが平均)となる前にドレンホースの劣化によりドレンホースだけの取替工事が発生してしまう可能性があります。
見栄えや今後のメンテンナンス性なども考えた場合、塩ビパイプの排水管取り付けの施工価値は十分にあると思います。
まとめ
今回は、【エアコン水漏れ】ドレンホースの劣化破損原因と修理交換方法についてお話しました。
エアコンから水漏れが発生している場合は、エアコンが使えないだけではなく、床や壁などを痛めてしまう可能性もありますので、早め早めに修理をするのがベターです。
なお、ドレンホースの交換は特に資格がなくてもOKですので、屋外部分の交換修理程度であれば自分でも行っても大丈夫でしょう。
ただし、エアコンが2Fや3Fなどの高所壁面に取り付けられていたりして作業に危険が伴う場合や、室内側の冷媒配管や電線ケーブルと一緒になっていて感電の可能性がある部分、再び水漏れが発生してしまった場合に被害が大きくなってしまうようなことが想定される場合は決して無理せず、プロに依頼することをおすすめします。
安心して快適に過ごすために、また、水漏れ被害を最小限に抑えるために、まずはエアコン修理業社に水漏れ修理の問い合わることからはじめていきましょう。