エアコンを使っているとき、急に室内機から水が漏れてきたら本当に驚いてしまいますよね。
しかも、こういった水漏れ故障が起こるのは熱帯夜が続く真夏日に発生することが多く、「エアコンが使えなくなって部屋が暑くて我慢できない・・・。」、「どうにかして早くこのエアコンを修理したい!」と思っている人が多いのではないかと思います。
こういった突然発生するエアコン水漏れの約8割はドレンホース(蛇腹状の白っぽい色をした排水用のホースのこと)の詰まりが原因で、メーカーサポートや地元のエアコン修理業社に修理をお願いするのが一般的です。
ただ、ここで一つ知っておいてほしいことがあります。
それは、このドレンホースの詰まりが原因の水漏れは、サクションポンプ(手動式真空ポンプ)と呼ばれるホームセンターなどで売られている道具を使うことで、自分でも簡単にドレンホース内の詰まりを掃除することができるということです。
この方法でエアコンを修理することができれば、室内機からの水漏れは解消されるため、またすぐにエアコンを使い始めることができます。
今回は、このサクションポンプや掃除機などの代用品を使ったドレンホース掃除の方法からドレンホース詰まりを予防する方法まで詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
エアコン水漏れの主な原因(ドレンホースつまり)とは?
まずはじめに、どうしてドレンホースが詰まってしまうとエアコンから水漏れが発生するのかということについてお話していきます。
エアコンの室内機の中にはアルミフィン熱交換器という部品があり、冷房や除湿、ドライ運転をした場合、この部分がキンキンに冷えて冷たくなって大量の結露水が発生しています。
ここで発生した結露水はドレンパン(ドレン皿)というパーツで受け止められた後、ドレンホースを通って室外に排出される構造になっています。
夏場、屋外に設置されている室外機あたりのドレンホースの先端からポタポタと出てきている水は、室外機で発生したものではなく、室内機の方で発生した結露水ということになります。
例えば、真夏日にルームエアコンで冷房運転を行った場合、一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水がドレンホースから排出されています。
何らかの原因でこのドレンホースが詰まってしまった場合、室内機で発生した結露水がドレンパンから溢れてしまい、それがエアコンからの水漏れの原因となります。
ドレンホースが詰まってしまっている場合の水漏れ症状としては、室内機の吹出口やルーバー、底面、エアコン取り付け部の壁面辺りから水漏れが発生することになります。
この場合の水漏れの量としては連続的にポタポタと水滴が漏れ出てくるイメージとなります。
ドレンホース詰まりの主な原因
ドレンホースが詰まってしまう主な原因は、汚れや土、虫などの異物がドレンホースに詰まってしまうケースや、ドレンホースが折れたりねじれたりするケースが一般的です。
このドレンホース詰まりの具体的な原因について詳しく見ていきましょう。
ドレンホースに異物が詰まってしまったケース
ドレンホースに異物が詰まってしまうと、室内機で発生した結露水がドレンパンから溢れてエアコンからの水漏れが発生します。
このドレンホース詰まりを引き起こす原因物質の具体例を紹介しておきます。
室内機で発生したホコリやカビ汚れが詰まる場合
室内機アルミフィンなどで発生したカビやホコリなどの汚れ、ドレンパンで発生したスライム汚れ(微生物の死骸)などがうまく室外に排出されず、ドレンホース内で詰まってしまうことがあります。
設置から10年以上経過したような古いエアコンや、エアコン洗浄スプレーなどを使ったDIY掃除を行った事がある場合に多い傾向があります。
ドレンホースから侵入してきた虫の死骸が詰まる場合
ドレンホースの先端から入ってきた昆虫(コガネムシやハチ、ゴキブリなど)がホース内で死んでしまい、それがドレンホースを詰まらせてしまうことがあります。
ドレンホースの先端が地面についてしまっていると虫がドレンホースに侵入しやすい環境になってしまいますので、ドレンホースの先端は地面に接触しない状態(宙ぶらりんの状態)にしておくのがベターです。
この他に、ドレンホースの先端に専用のドレンキャップやガーゼ、ストッキングなどを取り付けておくことで、ドレンホースへの害虫の侵入を防ぐことができます。
ただし、取り付けたキャップやネットが原因で詰まりが発生することがありますので、このネットは1年毎を目安に交換する必要があります。
基本的には、ドレンホースを地面から離して設置するようにすれば昆虫の侵入はある程度防止することができますので、ここまでの対策をしなければならないことは殆どありませんが、ご参考まで。
ドレンホースが潰れてしまっているケース
ドレンホースが詰まってしまう原因はホースの中で異物が詰まってしまうだけではなく、ホースそのものが折れたりしてしまっていることもあります。
例えば、ドレンホースの先端に植木鉢などの重量物が置かれていたりしてホースが潰れて排水ができなくなっていることがあります。
また、エアコン配管が壁から出てくる部分や配管カバー飲まがり部などで冷媒配管など下側にドレンホースが配置されているような場合、ドレンホースが潰れて詰まりを引き起こすケースもあります。
施工直後はドレンホースの変形が小さいため正常にドレン水が排水されますが、設置から数年が経過してくると冷媒配管などの重さの影響で徐々に潰れてきて汚れが溜まりやすくなり、最終的には水漏れに至ることがあります。
ドレンパン出口部分が詰まったケース
ドレンホース内での詰まりではないのですが、同じ排水経路の詰まりでまれにあるのが、室内機の中に取り付けられているドレンパンというパーツの排水出口部分(ドレンホースと接続する部分)で詰まりが発生するというケースです。
ドレンパンの出口部分は害虫などの侵入を防ぐため、排水経路の内径が小さくなっている部分があり、そこで詰まりが発生してしまうことがあります。
ドレンパン出口部の詰まりによる水漏れの場合も、ドレンホース内で詰まりが発生した場合と同じような水漏れ症状となるため、どちらが原因であるか判断するのが難しいのが実際です。
ただ、圧倒的に発生事例数として多いのはドレンホースの詰まりですので、基本的にはそちらが詰まっているという前提で修理作業を進めていき、どうしても水漏れが治らない場合はドレンパンからの水漏れを疑っていくという流れになります。
サクションポンプを使ったドレンホース掃除の方法
エアコンの水漏れ原因の約8割はドレンホースのつまりが原因となっています。
本格的な詰まりの場合は業社に依頼しなければなりませんが、ちょっとした詰まりであれば自分でも簡単に掃除して取り除くことができます。
DIYが得意な人は一度試してみてもいいのではないかと思います。
ドレンホース詰まり掃除に使うサクションポンプ
エアコン水漏れ修理でよく登場するのが、サクションポンプ(手動式真空ポンプ)です。
室外側のドレンホースの先端にサクションポンプを差し込み、勢いよくレバーを引っ張ることでドレンホースやドレンパンに詰まっている汚れや水分を一気に吸い出すことができます。
このサクションポンプは、ホームセンターやネットショップなどで2000円前後で販売されていますので、DIYが得意な場合は水漏れ修理に挑戦してみるのもいいでしょう。
ドレンホース掃除の手順
まず、エアコン室内機の吹出口周りにビニール袋をかぶせていきます。
これは作業中に水が逆流して室内機から溢れてきたときに部屋に水が溢れてこないようにするための対策となります。
念のため、室内機の真下の床あたりに雑巾などをたくさん準備しておきましょう。
次に、サクションポンプを室外機のドレンホースの先端に挿入します。
サクションポンプの使い方のポイントは、引っ張るときは素早く、押すときはゆっくり操作するか、サクションポンプを取外して押すことです。
というのも、速いスピードで押し込んでしまうとドレンホースにたくさんの空気が一気に吹き込まれてしまってたまっている水が逆流し、室内機から水が漏れてきてしまうことがあるからです。
ですので、サクションポンプを操作するときは、引っ張るときは素早く、押すときはゆっくり、または取外して行うことを意識して作業していきましょう。
レバー動作 | 動作 スピード | 理由 |
---|---|---|
引っ張る | 早く | 詰まりを勢いよく 吸い出すため |
押し込む | ゆっくり (または取外して) | 水が逆流して エアコンから漏れる のを防ぐため |
何度かサクションポンプを操作して詰まりが取れると、突然スルッと引っ張るのが楽になり、ドレンホースからサクションポンプを取り外すと汚れや水がドバーッと流れ出してきます。
このような状態になったらドレンホースの詰まりは取り除くことができたということになりますので、一度エアコンを冷房運転で動かしてみて水漏れが直ったかどうか確認してみてください。
エアコン起動から20~30分経過後、ドレンホースから水滴がポタポタ落ち始めることを確認することができれば、ドレンホースの掃除は修理完了です。
掃除機を使ったドレンホース掃除の方法
先程はサクションポンプを使ったドレンホース掃除の方法をご紹介しましたが、サクションポンプの代わりに家庭用の掃除機を使ってドレンホース掃除をすることもできます。
デメリットとしては、サクションポンプより吸引力が小さく、掃除機を壊してしまうリスクもありますが、身近にあるものでエアコン水漏れ修理をしたいという場合は検討してみるのもいいでしょう。
掃除機でつまりを取る場合の作業手順
まず、ドレンホースの先端に目の荒い布やストッキングタイプの生ゴミフィルターなどを輪ゴムで取り付けます。
これは、ドレンホースの詰まりが取れた際に水分を含んだ異物が一気に出てきて、掃除機の中に吸い込まれてしまわないようにするための工夫です。
そして、ドレンホースの先端を上に向けて片手で握り、その手の上に掃除機の吸込口を押し当てます。
この時、ドレンホースを下向きや横向きにして掃除機を押し当ててしまうと詰まりが取れた時、掃除機が大量の水を吸い込んでしまい、最悪の場合掃除機が故障してしまう可能性があります。
必ず、ドレンホースは上に向けた状態で、掃除機を上から押し当てるという形で行うようにしましょう。
ドレンホースの詰まりが取れた時、一気に水が流れて来るのがドレンホースを持っている手の感触でわかりますので、その瞬間に掃除機を取外します。
つまりが取れた後はエアコン(冷房運転)を始動し、20~30分ぐらい後にドレンホースから水滴がポタポタと連続して出ていれば、水漏れ修理は完了です。
ドレンホース詰まりの2つの予防方法
エアコン水漏れ故障のほとんどはこのドレンホースの詰まりが原因となっています。
急にエアコンが使えなくなってしまうと本当に困ってしまうため、水漏れを未然に防ぐ方法を知りたい方も多いのではないかと思います。
ドレンホースの詰まりは定期的な点検やエアコンクリーニングを行うことで予防することができます。
ただ、少しやり方を間違ってしまうと逆につまりを誘発してしまうことになりますので、どういう風にメンテナンスしていけばいいのかということについてお話していきます。
定期的なエアコンクリーニングで水漏れ予防
ドレンホースの詰まりの多くは、室内機内部で発生するスライム状の汚れがうまく排出されず、ドレンホース内にとどまることが原因です。
特に、最近ホームセンター等でよく見かけるエアコン洗浄スプレーなどを使って室内機のアルミフィンを掃除したりしてしまうと、落とされた汚れがうまく流れていかず水漏れを引き起こしてしまうというケースが目立っています。
エアコン洗浄スプレーは洗浄力は強いものの、水量が少ないため、落ちた汚れをうまく室外まで排出することができないというデメリットがあります。
アルミフィンについた汚れがひどい場合はこういったものを使って掃除するのではなく、プロに頼んで大量の水で汚れをしっかり洗い流してもらうのがベターです。
ドレンホースの点検で水漏れ予防
ドレンホースの詰まりは、エアコンで発生する汚れ以外にもドレンホースの変形や設置状況によって起こりやすくなることがあります。
例えば、ドレンホースの先端が地面まで届いてしまっていると、そこから虫が入ってドレンホースを詰まらせてしまうことがあります。
ドレンホースの先端は地面から離して取り付けるのが基本となっていますので、この辺りは一度チェックしておきましょう。
この他に、ドレンホースの折れやねじれによって排水経路が細くなってしまうことも詰まりを誘発してしまいます。
よく見かけるのは、エアコンの配管経路の曲がり部などでドレンホースが他の配管に潰されてしまうというケースです。
ドレンホースは蛇腹状になっていて変形には強い形状となっていますが、このような感じで長期間にわたって強い力を加えられ続けると、徐々に徐々に変形していきます。
この潰された部分は汚れが溜まりやすくなりますので、こういったドレンホースの曲がり部分も2~3年に一度はチェックしておくことをおすすめします。
また、ドレンホースは紫外線の当たるような部分は3~5年で劣化が進んできてしまうため、それぐらいのタイミングでドレンホースだけ新しいものに交換してしまうというのも一つの手です。
ドレンホースは室外機から1mぐらいのところで接続されています。
ドレンホースの点検で折れや潰れ、破れなどが見つかった場合はドレンホースを新しいものに交換しておきましょう。
まとめ
今回は、【エアコン水漏れ】ドレンホース詰まりを自分で掃除する方法についてお話しました。
エアコン水漏れの8割を占めるのはドレンホースの詰まりで、サクションポンプを使えば水漏れ修理ができるケースもよくあります。
DIYに自身がある場合は挑戦してみてもいいのではないかと思います。