ジメジメとした梅雨の時期や、ゲリラ豪雨に見舞われる夏の時期。突然、エアコンの配管が通る壁のあたりが水で濡れてくることはありませんか?
エアコンの水漏れは、放置すると壁や床を傷めるだけでなく、カビの発生原因にもなり、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
「エアコンから水漏れする原因ってなんだろう?」「壁の隙間や大雨と関係があるの?」「自分でできる対処法はある?」
そんな疑問をお持ちのあなたへ。この記事では、エアコンの水漏れの原因を、壁の隙間や大雨の影響も踏まえながら詳しく解説し、状況に合わせた対処法をご紹介します。
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▶ステップ1:状況確認
エアコンの水漏れについて故障診断を行います。
エアコンから水が漏れているのですね。まずはどこから水が漏れてくるのか教えて下さい。
この記事の監修者
「taichan(たいちゃん)」
エアコンの故障診断のエキスパート、taichanです。大学院でヒートポンプを研究し、特許も取得。大手電機メーカーで培った知識と15年以上の現場経験を活かしたセカンドオピニオンを無料相談Q&A(空調テック)で提供中。電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など、多数の資格を保有。
壁の隙間から水が漏れるのは雨漏り?エアコンからの水漏れ?
エアコンの配管が通る穴の周りの壁の隙間から水が漏れてくる原因は、雨漏りが原因であるケースと、エアコンからの水漏れが原因であるケースに分けられます。
- スリーブ穴の不具合(雨漏り)
- 屋根上室外機からの雨水の侵入(雨漏り)
- 配管の結露(エアコンからのの水漏れ)
それぞれの詳しい解説は以下の通りです。
【原因1】スリーブ穴の不具合
エアコン水漏れの原因として稀にあるのが、エアコン配管を通すためのスリーブ穴からの雨漏りです。
スリーブ穴の不具合による水漏れのメカニズムと症状
エアコンは、冷媒ガスや排水を通すため配管用の穴(スリーブ穴)を壁に空け、そこに配管を通す必要があります。
部屋ごとのエアコン取り付け位置はおおよそ決まっていることが多いため、エアコン専用のコンセントは住宅に設置されていることがほとんどですが、スリーブ穴についてはエアコンの形状や配管の取り出し位置はメーカーや機種によってさまざまであるため、エアコン取り付けのタイミングでエアコン取り付け業者がスリーブ穴を施工するのが一般的です。
スリーブ穴と配管の隙間は雨水が侵入しやすいため、パテやシリコーンコーキングで防水処理を行いますが、シール材の経年劣化などが原因でこの部分に隙間ができてしまうことが原因で、雨が室内に侵入することがあります。
特に、スリーブ穴が逆勾配(室内の穴のほうが室外の穴よりも低い状態)になっていたりする場合、雨水が配管をつたって室内側まで流れやすい状況になっているため注意が必要です。
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ症状
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。
項目 | 内容 |
水漏れ箇所 | ・壁貫通部 |
水漏れ量 | ・少量 |
水漏れ頻度 | ・たまにしか起こらない |
水漏れ 発生条件 | ・雨が降った時のみ |
水漏れ原因 特定方法 | ・スリーブ穴のパテやコーキングが劣化している ・スリーブ穴が逆勾配 ・ドレンホースから排水はある ・ドレンパンに水が溜まっていない ・エアコンの効きは良い |
雨が降ったときだけエアコン配管の壁貫通部あたりから水が漏れてくるという場合は、スリーブ穴を通して雨水が室内に侵入してきている可能性があります。
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ修理の依頼先
スリーブ穴の不具合が原因の場合の水漏れ修理の依頼先は、以下の通りとなります。
原因と修理方法 | 修理の依頼先 |
スリーブ穴の不具合 →防水処理の再施工 | ・メーカーサポート(保証修理可) ・購入元販売店(保証修理可) ・エアコン修理業社 |
エアコン修理はメーカーサポートや購入元販売店に修理を依頼することが一般的ですが、スリーブ穴の不具合が原因の場合はエアコン本体が水漏れの原因ではないため、水漏れ修理はエアコン修理業社に依頼するのが基本となります。
エアコン取付直後から雨漏りする場合は、そのエアコンを取り付けたエアコン業者が自社保証の範囲内で無償修理してくれるでしょう。
このエアコン水漏れの特徴は、雨の日にたまに水漏れしているだけなのでエアコンが壊れて動かないというわけではなく、エアコン修理を後回しにしてしまうケースが多いという点です。
雨漏り修理を放置してしまうと、水で濡れてしまっている壁のクロスが黒ずんできたり、壁の中の建材が腐食してしまうことがあります。
単なるエアコン故障より大掛かりな修理が必要となってしまうこともありますので、早めに修理依頼していくことをおすすめします。
【原因2】屋根上室外機からの雨水の侵入
稀なケースですが、室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置しているケースにおいて、冷媒配管断熱材の劣化部分から侵入した雨水が冷媒配管と断熱材の間を流れ、室内機本体部分で漏れてくることがあります。
屋根上室外機からの雨水の侵入による水漏れのメカニズムと症状
室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置した場合、冷媒配管は上記のような形で配置されます。
そして、設置から数年経過すると、冷媒配管を保護しているビニールテープや断熱材が劣化して破れ、銅配管が露出します。
この状態で雨が降った場合、銅配管と断熱材の隙間に雨水が入り込み、エアコンの室内機側まで流れ、そこから雨水が漏れてくることがあります。
屋根上室外機からの雨水の侵入が原因の場合の水漏れ症状
屋根上室外機からの雨水の侵入が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。
項目 | 内容 |
水漏れ箇所 | ・本体底面 ・壁面 |
水漏れ量 | ・少量 |
水漏れ頻度 | ・水漏れする時としない時がある |
水漏れ 発生条件 | ・雨が降った時のみ |
水漏れ原因 特定方法 | ・室外機が室内機より高い位置に置かれている ・屋外配管が劣化している ・雨の日に水漏れする ・エアコンを使っていないときでも水漏れする ・ドレンホースから排水はある ・ドレンパンに水が溜まっていない ・エアコンの効きは良い |
屋根上室外機からの雨水の侵入が水漏れ原因の場合、雨が降ったときだけ水が漏れてくるのが特徴です。
屋根上室外機からの雨水の侵入が原因の場合の水漏れ修理の依頼先
屋根上室外機からの雨水の侵入が原因の場合の水漏れ修理の依頼先は、以下の通りとなります。
原因と修理方法 | 修理の依頼先 |
配管断熱材の劣化が原因 →配管補修 | ・メーカーサポート(保証修理可) ・購入元販売店(保証修理可) ・エアコン修理業社 |
断熱材がボロボロに劣化している場合、エアコン設置から10年近く経過している可能性もあるため、エアコンの取替えについても考えていく必要がある時期です。
【原因3】配管の結露
エアコン水漏れの原因として稀にあるのがエアコン配管表面で発生する結露が原因の水漏れです。
配管の結露による水漏れのメカニズムと症状
エアコンの配管の種類と役割
エアコンの室内機から出ている配管は、2本の冷媒配管(細い銅管と太い銅管がセットになり、断熱材に包まれている)とドレンホース(蛇腹状になっているもの)があります。
- 冷媒ガスが流れる2本の銅配管
エアコンに繋がっている2本の銅管は冷媒ガスが流れている配管です。 冷房運転の場合、細い方の配管は室外機から室内機に向かって冷たい冷媒が流れ、太い方の配管は室内機から室外機に向かって冷たい、またはぬるい冷媒が流れています。 - 結露水が流れるドレンホース
もう1つは、室内機側で発生する結露水を屋外に排出するためのドレンホースです。 ドレンホースの出口部は室外機の近くに設置されていることが多いですが、このドレンホースをたどっていくと、室内機から伸びてくるドレン配管と接続されています。
エアコンを冷房運転やドライ運転した場合、このドレンホースに室内機の中にあるアルミフィン熱交換器で発生する結露水が流れ込みます。
特に夏場(7~8月)など、エアコンがフル稼働している場合、1日で十数リットルもの低温の結露水が発生し、ドレンホースに流れ込むため、ドレンホースも低温になります。
ドレンホースの断熱材が不足していると、表面の温度が下がってしまい、結露が発生します。
上図は蛇腹状のドレンホースに薄い断熱シートを巻きつけ、その上からビニールテープを巻いている部分に結露が発生しています。 このドレンホースには薄い断熱シートが取り付けられていましたが、断熱性能が足りておらず、内部を流れている冷たいドレン水の冷たさが一番外側に巻かれているビニールテープの表面に伝わり、表面温度が下がり、結露が発生していました。
上記の例はドレンホースについてですが、冷媒ガスが流れる銅配管でも同様に結露が発生する可能性があります。
ただし、冷媒配管には分厚い断熱材が必ず巻かれているため、その断熱材が破れたり、つぶれたりしていなければ、基本的に結露するほど表面温度は下がりません。
稀なケースとして、配管を曲げて壁の穴に通す際に冷媒配管が貫通穴に強く押し付けられて断熱材がつぶれ、その部分で結露が発生したことがありました。
配管の結露が原因の場合の水漏れ症状
配管の結露が原因の場合の水漏れ症状は以下の通りです。
項目 | 内容 |
水漏れ箇所 | ・配管表面 |
水漏れ量 | ・少量 |
水漏れ頻度 | ・たまにしか起こらない |
水漏れ 発生条件 | ・湿度が高い時期 ・エアコンの稼働率が高い時期 |
水漏れ原因 特定方法 | ・配管の表面だけに水滴が付いている ・湿度の高い時に発生する ・ドレンホースから排水はある ・ドレンパンに水が溜まっていない ・エアコンの効きは良い |
配管の結露が原因の場合の水漏れ修理の依頼先
配管の結露が原因の場合の水漏れ修理の依頼先は、以下の通りとなります。
原因と修理方法 | 修理の依頼先 |
配管の結露 →配管断熱材の再施工 | ・メーカーサポート(保証修理可) ・購入元販売店(保証修理可) ・エアコン修理業社 |
エアコン取り付け直後から配管表面が結露して水漏れしている場合は、そのエアコンを取り付けたエアコン業者が自社保証の範囲内で無償で修理してくれます。
逆に、取り付けから数年が経過した後の配管結露については断熱材の経年劣化が原因と考えられるため、自己負担で修理する必要があります。
配管の結露水が滴り落ちてくるような状態を放置すると、水で濡れてしまった壁のクロスが黒ずんだり、床板が腐食したりすることがありますので、早めに修理を依頼しましょう。
エアコン水漏れ発生時の対処法
エアコンの水漏れは、放置すると床が濡れてしまったり、カビの原因になったりと、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。 ここでは、エアコンの水漏れが発生した際に、専門業者に依頼するべきか、自分でできる対処法があるのか、判断基準と合わせて解説します。
1. 専門業者に依頼する場合
以下の場合は、無理に修理しようとせず、専門業者に依頼することをおすすめします。
- 自分で原因を特定できない場合
- 自分で対処できない場合
- 水漏れがひどい場合(例:水漏れが大量で、床が水浸しになる場合など)
- エアコンの故障が疑われる場合(例:水漏れ以外にも効きが悪いなど)
- エアコンの内部を清掃したい場合
2. 自分でできること
水漏れの原因によっては、自分で対処できる場合があります。
- エアコンの運転を停止する
まずは、エアコンの運転を停止し、コンセントを抜いてください。 運転を続けることで、水漏れがひどくなったり、感電の危険性があるためです。 - フィルターを掃除する
フィルターが目詰まりしていると、空気の流れが悪くなり、水漏れの原因となることがあります。 フィルターを取り外し、掃除機などでホコリを吸い取ったり、水洗いして汚れを落としましょう。 - ドレンホースを確認する
ドレンホースが詰まっていると、水が排出されずに室内に漏れてきます。 ドレンホースの先端が潰れていないか、ゴミやホコリで詰まっていないかを確認しましょう。
上記の内容を確認しても水漏れが改善しない場合、プロに点検を依頼することをおすすめします。
まとめ
この記事では、エアコンの水漏れ、特に壁の隙間から水が漏れる原因について詳しく解説しました。
水漏れの原因としては、スリーブ穴の不具合、屋根上室外機からの雨水の侵入、配管の結露など、様々なことが考えられます。
水漏れが発生した場合は、まずエアコンの運転を停止し、状況を確認することが重要です。原因によっては、フィルター掃除やドレンホースの確認など、自分で対処できることもあります。
水漏れの原因が特定できない場合や、自分で対処できない場合は、無理せず専門業者にエアコン点検や水漏れ修理を依頼しましょう。
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エアコンのトラブル、もう悩まない!解決への3ステップ
エアコンの調子が悪いと感じたら、まずは落ち着いて状況を把握しましょう。
電源が入らない、ランプが点滅する、異音がする、冷風が出ない、水が漏れる…など、具体的な症状は何でしょうか?
慌てずに、これからご説明する3つのステップに従って、ひとつずつ問題を解決していきましょう。
ステップ1:状況確認と原因特定
不具合の具体的な症状(例:冷えない、異音がする、水漏れするなど)を把握しましょう。そして、エアコンの不調の原因を探ります。取扱説明書を確認したり、簡単なセルフチェックを試してみることで、自分で解決できることもあります。
エアコンの調子が悪いときは、まずこちらで不具合内容をチェック!
>> エアコンの不具合診断(スマート診断ナビ)はこちら
ステップ2:修理の可否
エアコンの使用年数から、エアコンの修理が可能かどうかを判断します。保証や修理費用確認費用などを調べましょう。
修理を依頼する前に、まずは修理が可能かどうかを確認することができます。
>>修理はできる?診断したい方はこちら
ステップ3:業者選び
修理または買い替えを依頼する業者を選びます。 メーカーのサービスセンター、家電量販店、街の電気屋さんなど、様々な選択肢があります。 費用やサービス内容を比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。
信頼できる業者を見つけるためのヒントはこちら
>>業者の違いが知りたい方はこちら
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