水漏れ

エアコン水漏れを直す11の修理方法


【水漏れ修理方法6】排水経路の逆勾配はエアコン工事のやり直し修理

エアコンの配管はドレン排水のため傾斜をつける

エアコンには、室内機本体内部で発生する結露水を室外に排出するための排水経路があります。

エアコン本体が水平に取り付けられていない場合や、配管が逆勾配になってしまっているような場合、室内機本体から水漏れが発生することがあります。

ドレンパン(赤で囲った部分)は単純に上にあるアルミフィンから落ちてくる水を受け止めるだけの構造になっていて、通常、右側にあるドレンホース接続口に流れていきます。

エアコンの水漏れ原因のドレンパン

このドレンパンの水を受ける部分は水平で傾斜がついているわけではないため、ドレンパンに置いた水が溜まってくると自然に横向かって流れていくというイメージです。

エアコン本体が水平ではなく右上がりに取り付けられていたような場合、ドレンパンの水は左側に流れていってしまうことになり、ドレンパンから溢れ出し、室内機本体からの水漏れに繋がります。

この他に、エアコン室内機に繋がっているドレンホースの勾配について、どの部分においても上から下に向かって水が流れるように施工する必要があります。

稀に壁貫通部の穴が室内から室外に向かって上向きになってしまっていたり、配管の取り回しで逆勾配にされてしまっているケースがあります。

ドレンホースの逆勾配

ドレン配管が逆勾配になってしまうと、水が流れていかなくなるため、室内機で発生した結露水がうまく室外に排出されなくなり、室内機からの水が漏れる原因となります。

「少々の逆勾配なら水は流れていくので問題ないのでは?」と思う方がいるかも知れませんが、逆勾配部分には汚れも溜まりやすくなるため、ほんのちょっとの逆勾配でも水漏れ原因になってしまうことがありますので、注意して逆勾配部がないか観察する必要があります。

逆勾配が原因の場合、エアコン動作中にエアコンの吹出口や本体底面などから連続的にポタポタと水が垂れてくるのが特徴です。

水漏れ量としては逆勾配がきつい状態だと、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。

室内機からの水漏れが発生していて、エアコンの冷房やドライ運転中に室外の排水ホースから排水がない、室内機のドレンパンに水が溜まっているというような場合は、排水経路の逆勾配を疑っていきましょう。

排水経路の逆勾配が水漏れの原因である場合、エアコン本体は水平に、ドレン配管は順勾配(水が流れる傾き)となるよう施工し直す必要があります。

正しい配管勾配のエアコン

パット見た感じエアコンは水平に取り付けられているように見えても、水平器で傾きをチェックしてみるとエアコンが傾いてしまっていたりすることもあります。

これは建物そのものが傾いてしまっていてるような稀なケースとなりますが、思い込みは捨てて水平器などの計測器を使ってエアコン本体は水平に、配管は順勾配になるよう設置していくことが重要です。

【水漏れ修理方法7】本体不良の場合は対策部品を取り付け

エアコン内部で発生している結露水は通常、ドレンホースを通って室外に排出される仕組みになっていますが、ごく稀にエアコン本体の設計ミスや組み立て不良などが原因で、室内機本体から水漏れが発生することがあります。

エアコンドレンパンと結露水排出のイラスト図

通常、アルミフィンや配管などに付いた結露は上記のようにうまくドレンパンに落ちていくのですが、2010~2015年頃の一部メーカー品において結露水がドレンパンに外の部分に垂れてしまい、室内機吹出口右側辺りからの水漏れ故障が発生していました。

エアコン本体不良による水漏れ(吹出口右側)

このように、エアコン本体の不良が原因で水漏れが発生することが稀にあります。

エアコン本体の不良が原因である場合、水漏れ原因が分かりにくく、簡単には水漏れ原因を特定できないのが特徴です。

エアコン修理業社は長年のノウハウがあるため、どのメーカーのどの年代の機種に不具合が多いかという情報を把握していますので、そういったことも考慮しながら水漏れ原因を探していく必要があります。

本体不良が水漏れの原因であると考えられる場合、対策部品を取り付けて修理することがほとんどとなります。

エアコン水漏れドレンパンつまりを取り除くためにドレンパンを分離

エアコンの修理はメーカーサポートや購入元販売店、エアコン修理業社に依頼していくのが一般的です。

ただし、先ほど紹介した対策部品まで出ているような本体不良の場合、保証期間が過ぎていたとしてもメーカー側が修理費用を負担してくれるケースもありますので、一度、メーカーサポートの方に問い合せてみることをおすすめします。

【水漏れ修理方法8】外気の逆流(高気密住宅)の場合はエアカットバルブで対策

最近少しづつ増えてきたのが、高気密住宅で発生するドレンホース内を外気が逆流することが原因の水漏れです。

エアコンドレンパンと結露水排出のイラスト図

通常であれば上記のような流れで結露水が室外に排出されていくのですが、最近増えてきている高気密住宅で、窓を締め切った状態で換気扇を回したり、強風などでドレンホース側に正圧が発生したりすると、ドレンホースからエアコンに外気が逆流してしまうことがあります。

外気がドレンホースを逆流して水漏

通常、外気の逆流が起こっただけだと「ポコ、ポコ、ポコ・・・」という音がエアコンから聞こえてくるだけで室内機から水漏れが発生することはあまりありません。

ただし、もともとドレンパンが汚れ気味で水の排水がうまくいっていなかったような場合、この逆流する外気がドレン排水の流れをさらに邪魔してしまい、水漏れを引き起こしてしまうことがあります。

外気が逆流することによるエアコンからの水漏れ場所

外気の逆流が水漏れ原因の場合、窓を締め切った時や換気扇を回した時だけエアコンの吹出口や本体底面などから水が漏れてくるのが特徴です。

水漏れ量は多めで、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。

高気密住宅で窓を締め切ったときにだけポコポコと音を立てながら水が漏れてくるような場合は、外気の逆流による水漏れを疑っていきましょう。

ドレンホース内の外気の逆流が水漏れの原因である場合、換気扇などをつける際に窓を開けるなどをすれば水漏れが収まります。

この他に、エアカットバルブ(おとめちゃんなど)をドレンホースに取り付けることで水漏れが解消されることがあります。

エアカットバルブおとめちゃんでエアコンのポコポコ音解消

エアーカットバルブをエアコンのドレンホースに取付

ただし、外気の逆流だけが原因で室内機からの水漏れが発生することはありませんので、ドレンパンの汚れや配管の逆勾配、エアコンの傾きなど、なにか別の要因も絡んでいることが多いのが実際です。

このエアカットバルブの設置はあくまでも応急処置という形になることに注意が必要です。

【水漏れ修理方法9】配管断熱材の劣化の場合は劣化断熱部材の交換修理

稀なケースですが、室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置しているケースにおいて、冷媒配管断熱材の劣化部分から侵入した雨水が冷媒配管と断熱材の間を流れ、室内機本体部分で漏れ出てくることがあります。

雨水が侵入して室内機から水漏れ

室内機より高い位置(屋上など)に室外機を設置した場合、冷媒配管は上記のような形で配置されることになります。

そして、設置から数年が経過すると、冷媒配管を保護しているビニールテープや断熱材が劣化して破れ、銅配管が露出してきます。

この状態で雨などが降った場合、銅配管と断熱材の隙間に雨水が入り込み、エアコンの室内機側まで流れていき、その部分で雨水が漏れ出してくることがあります。

雨水の侵入によるエアコン水漏

配管断熱材の劣化が水漏れ原因の場合、雨が降ったときだけエアコンの底面や壁面あたりから水が漏れてくるのが特徴です。

配管断熱材の劣化が水漏れの原因である場合、屋外配管の劣化部分を補修(断熱材の交換、ビニールテープの巻き直し)をすれば修理完了となります。

【水漏れ修理方法10】スリーブ穴の不具合はパテ再施工修理

エアコン水漏れの原因としてたまにあるのがエアコン配管を通すためのスリーブ穴からの雨漏りです。

エアコンのスリーブ穴の隙間

エアコンは銅配管の中を流れる冷媒ガスが室内機と室内の間を行き来する事によって、部屋を冷やしたり温めたりする冷暖房を行う仕組みとなっています。

そのため、エアコンを設置するためにはその冷媒ガスを流すための配管を通すための穴(スリーブ穴)を壁に空け、そこに配管を通す必要があります。

部屋毎のエアコン取付位置はおおよそ決まっていることが多いため、エアコン専用のコンセントは住宅に据え付けられていることがほとんどですが、スリーブ穴についてはエアコンの形状や配管の取り出し位置はメーカーや機種によって様々であるため、エアコン取付のタイミングでエアコン取り付け業者がスリーブ穴を施工するのが一般的です。

雨水が侵入しやすいスリーブ穴と配管の隙間はパテやシリコーンコーキングで防水処理を行いますが、シール材の経年劣化などが原因でこの部分に隙間ができてしまうことが原因で雨が室内に侵入してくることがあります。

特に、エアコンの配管カバーを取り付けていなかったり、スリーブ穴が逆勾配(室内の穴のほうが室外の穴より低い状態)になっていたりする場合、配管も室内より屋外のほうが高い位置にある逆勾配になっていることが多く、雨水が配管をつたって室内側まで流れやすい状況になっていますので注意が必要です。

エアコン壁貫通部からの水漏れは雨漏り

今回の水漏れ原因はエアコン本体の故障ではないため、エアコンの動作に関わらず水漏れが発生することがあるのが特徴です。

特に、雨が降ったときだけエアコン配管の壁貫通部あたりから水が漏れてくるという場合は、スリーブ穴を通して雨水が室内に侵入してきている可能性があります。

エアコン設置から数年が経過してパテやコーキングなどの防水材が劣化してきていたり、スリーブ穴が逆勾配となっている場合はここから雨漏りしている可能性が高まりますので、そういった部分もチェックしてみてください。

スリーブ穴からの雨水の侵入が水漏れの原因である場合、屋外側のスリーブ穴の防水処理を再施工することでエアコンの水漏れは収まります。

エアコンの配管カバーでスリーブ穴からの雨漏り(水漏れ)予防

なお、雨風の強い側の壁面にスリーブ穴を開けている場合、配管カバーを取り付けてスリーブ穴を隠すことで雨水の侵入を防ぐ効果もあります。

【水漏れ修理方法11】配管の結露は断熱材強化修理

エアコンドレンホースから水漏れ(表面の露)

エアコン水漏れの原因で稀にあるのがエアコン配管表面で発生する結露が原因の水漏れです。

エアコンの室内機から出ている配管は、2本の冷媒配管(細い銅管と太い銅管がセットになって断熱材に包まれている)とドレンホース(蛇腹状のもの)があります。

エアコン配管の接続部

エアコンに繋がっている2本の銅配管は冷媒ガスが流れている配管となります。

冷房運転の場合、細い方の配管は室外機から室内機に向かって冷たい冷媒が流れていて、太い方の配管は室内機から室外機に向かって冷たい、またはぬるい温度の冷媒が流れています。

エアコンの冷房時の冷媒ガスの流れ

もう一つが、室内機側で発生する結露水を屋外に排出するためのドレンホース配管です。

エアコン室内機の結露水を排出するためのドレンホース

ドレンホースの出口部は室外機のあたりに配置されていることが多いですが、このドレンホースをさかのぼっていくと、室内機から伸びてくるドレン配管と接続されています。

エアコン室内ドレンホース

エアコンの冷房運転やドライ運転を行った場合、このドレンホースに室内機の中にあるアルミフィン熱交換器で発生する結露水が流れ混んでいきます。

エアコンドレンパンと結露水排出のイラスト図

特に夏場(7~8月)など、エアコンがフル稼働する状況の場合、一日で十数リットルもの低温の結露水が発生してドレンホースに流れ込むため、ドレンホース表面も低温になることがあります。

こういった配管表面に薄っすらと水滴が付くというような症状の水漏れは、冷えた配管の表面で結露が発生し、その結露水が垂れて染み出してきてきてしまっているのが原因となっています。

エアコンドレンホースから水漏れ(表面の露)

上の写真は蛇腹状のドレンホースに薄い断熱シートを巻きつけ、その上からビニールテープを巻いている部分に結露が発生している写真です。

このドレンホースには一応薄い断熱シートが取り付けられていましたが、断熱性能(断熱材の厚み)が足りておらず、内部を流れている冷たいドレン水の冷たさが一番外側に巻かれているビニールテープ部の表面に伝わり、表面温度が下がってしまっていました。

これは夏場、氷を入れたコップの表面(温度が低い場所)に結露水が発生するのと同じ原理です。

このような原理で出てきた水が配管を伝って流れていくと、配管カバーから漏れ出ててきたり、壁の貫通部の周りなどが水で濡れてきてしまいます。

上記の例はドレンホースに関しての話ですが、冷媒ガスが流れる銅配管でも同じように結露水が発生する可能性があります。

ただし、冷媒配管の方には分厚い断熱材が必ず巻かれているため、その断熱材が破れたり、つぶされたり(断熱材の厚みが薄くなったり)していなければ、基本的には結露するまで表面温度が下がることはありません。

ごく稀なケースとして、配管を曲げて壁の穴に通すような状況で冷媒配管が貫通穴に強く押さえつけられて断熱材が潰れ、その部分で結露が発生していたということはあったりしましたが、冷媒配管の表面に結露が発生するのは本当に稀なケースとなります。

エアコン配管結露水漏れ

この水漏れは配管表面の温度が下がってしまって空気中の水分が結露することが原因となっているため、配管の中にある水が染み出してきているというわけではありません。

特に、部屋の湿度が高く、エアコンの稼働率が高く冷たいドレン水が大量に配管の中を流れる夏場に発生する事が多いのが特徴です。

エアコンの動作に異常はないものの、配管表面だけに水滴がうっすらと付くような場合は、配管の結露が水漏れの原因となります。

配管表面に結露水が生じる場合、配管の断熱材を断熱性能の高いより厚みのあるものに交換していきます。

室内に配置されているドレン配管は専用の断熱ドレンホースを使うのが一般的ですが、通常のドレンホースが使われていた場合は、冷媒配管用の断熱材を取り付けるなどでも対処することが可能です。

まとめ

今回は、エアコン水漏れを直す11の修理方法についてお話しました。

エアコンの水漏れ修理は原因毎に作業内容が異なってくるため、水漏れを直すためには経験とノウハウ、高価な専門工具などが必要となってきます。

エアコン水漏れトラブルの多くは、エアコンから水が漏れてくるだけでエアコンそのものは使える(ちゃんと冷える)ことが多いですので、漏れてきた水を拭き取りながらだましだまし使い続けている人も多いでしょう。

でも、水漏れを放置してしまうと壁紙クロスが黒ずんだり、カビで汚れてしまったり、床材などの建材が腐食してしまったりして、部屋の大掛かりな補修が必要になることもあります。

単なるエアコンの水漏れトラブルであれば、ほとんどの場合は業社にきてもらったらその日のうちに修理が完了しますし、修理費用もそこまで高くなってしまうことはありませんので、早め早めに修理依頼を行っていくことをおすすめします。

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