夏場(冷房時)のエアコン故障修理

【エアコン故障?】室外機ドレンホースから水が出なくなる5つの原因


エアコンの室外機のところにあるドレンホースから水が出ていないのだけれど、もしかしてエアコンが故障してしまったのでしょうか?

ドレンホースから水が出てこないのは故障の可能性もありますが、ちょっとした勘違いであることもよくあります。

この記事では次のことが学べます!

  • ドレンホースからの排水は「冷房」や「除湿」運転のみ生じる。
  • クーラーの使用状況によって、排水開始まで10~30分時間がかかる場合も。
  • 比較的涼しい時期(春や秋)はドレン排水量はかなり少なくなる。
  • 故障の場合のお主な原因は、冷媒ガス漏れや電源不良、排水経路の詰まりなど

この記事では、【エアコン故障?】室外機ドレンホースから水が出なくなる5つの原因についてお話していきます。

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プロフィール

この記事の監修者「taichan」


エアコン修理の実務経験が豊富な元メーカー勤務のエンジニア。保有資格は、第三種電気主任技術者、第一種電気工事士、第一種冷凍機械責任者など。


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室外機のところにあるドレンホースの役割とは?

室外機のところにあるドレンホースの役割

エアコンは水道がつながっているわけでもないのにどうして室外機のところにあるドレンホースから水が出てくるのでしょうか?

エアコンの室外機のところにあるドレンホースは、実は室外機で発生した水を排出しているのではなく、室内機本体の方で発生した結露水を排出するためのものとなります。

エアコンは冷房や除湿運転を行う際、室内機の内部にあるアルミフィン熱交換器は冷媒ガスによってキンキンに冷やされます。

エアコン室内機の熱交換器で空気を冷やす

エアコンの室内機は部屋の熱い空気を吸い込んでその冷えたアルミフィンの隙間を通過させることにより空気を冷やし、冷えた空気を送風ファンで吹き出す事によって部屋を冷やすという仕組みで動いています。

エアコンから冷たい風が出るメカニズム

部屋の空気はアルミフィンを通過する際、その冷えたえたアルミフィンに触れることで空気中の水分がアルミフィンに結露して付着します。

これはちょうど夏場に氷を入れたガラスのコップの表面に水滴がつくのと同じ原理となっています。

エアコンのドレンパンの役割は結露水を受け止めること

アルミフィンに付着した水分はフィンをつたって下に流れていき、アルミフィンの下にあるドレンパン(露受皿)に落ち、最終的にはドレンホースを通って室外に排出されます。

エアコンの結露水の排水経路(ドレンパン、ドレンホース)

真夏日に冷房運転を行った場合、一日あたり数リットルから十数リットルもの結露水が発生しています。

つまり、エアコンを動かした時にドレンホースから出る水は室内機から流れてきたもので、通常、冷房や除湿運転を行った場合に水が出てくるということになります。

ドレンホースから水が出てこない5つの原因

エアコンのドレンホースから水が出てこなくなる原因は、大きく分けると5つのパターンが考えられます。

【原因①】運転開始直後のケース

エアコン運転開始直後でドレンホースから水が出てこない

ドレンホースからの排水はエアコンをONしてから20~30分後になることが多いですので、エアコン動作直後はドレンホースからの排水がなくても故障ではありません。

特に、ドレンホースが長い(室内機から室外機までの距離が長い)ような場合、はエアコンを作動させてからしばらく待たないとドレンホースから水が出てきませんので、しばらく待ってみてそれから水が出始めたのであれば正常な運転動作となります。

【原因②】室温が設定温度付近になっているケース

圧縮機が停止して結露水が出ない

室温が設定温度付近になっている場合、エアコンは室外機の中にある圧縮機に「もう部屋を冷やさくなくていいよ」という司令を送り、運転を停止させます。

圧縮機が停止すると室内機内部にあるアルミフィンが冷えなくなりますので、それに伴ってアルミフィンで発生する結露の量も少なくなります。

このように室温が設定温度付近まで下がってきた場合は室内機で発しする結露の量が少なくなるため、ドレンホースから排出される水の量も少なくなります。

このような場合は、エアコンの設定温度を低めに設定した後、20~30分後にドレンホースからの排水量が増えたかどうか確認することでエアコン故障であるかどうか判断することができます。

なお、エアコンの設定温度を低めに設定したにも関わらず室外機が動かないような場合、エアコンの故障が考えられますので、下記の記事を参考にしてみてください。

>>エアコンの室外機が動かない(回らない)原因と対処法まとめ

【原因③】冷媒ガス漏れてしまっているケース

冷媒ガスが漏れてドレン排水がなくなる

ルームエアコンの配管内にはおおよそ1kg前後の冷媒ガスが封入されています。

何らかの理由でこの冷媒ガスが漏れて少なくなってしまった場合、室内機内部にあるアルミ熱交換器が異常冷却されてしまい、結露水が凍って霜や氷になることがあります。

冷却フィンとドレン皿、ドレンホースのイメージ図

通常であれば上記のようにアルミフィンに付いた結露水は下に流れてドレンパンに落ち、その後ドレンホースから室外に排出されることになるのですが、アルミフィン部が異常冷却されてしまうと結露水がアルミフィン部で凍ってしまい流れていかなくなります。

その結果、冷房運転中はドレンホースから水が出て来ないという症状が発生します。

この場合、エアコンをOFFした際にアルミフィンに付いた霜が溶け出してくるため、エアコン停止後にドレンホースから排水がある場合もあります。

冷媒ガスが抜けてしまうとエアコンの効きも悪くなってきますし、いるはずですので、エアコンの効きが悪くて、ドレンホースからの排水もない(エアコン停止後に排水される)という場合は、冷媒ガス漏れが故障の原因となります。

ちなみに、冷媒ガス漏れの場合、室外機の配管(細い方)が氷点下以下まで温度が下がるため、霜が発生して真っ白くなってしまうのが特徴です。

エアコンガス漏れで配管に霜がつく

通常の場合、この配管に液体の露がつくことはありますが凍って白くなることはまずありません。

冷媒ガス漏れの原因や具体的な対処方法については、こちらの記事が参考になります。

>>【エアコン】冷媒ガス漏れの原因と修理料金相場について

【原因④】エアコンが動いていないケース

エアコンのリモコンが効かない

エアコンはリモコンは動作していても本体が故障して電源が入らないということがよくあります。

リモコン操作後、室内機の電源ランプが点灯するかどうか念の為確認してみてください。

>>【故障か!?】エアコンの電源がつかない原因と対処法まとめ

エアコンの室外機が動かない

この他に、室内機の電源はついて吹出口から風が出ているにも関わらず、室外機の方が故障して動かなくなってしまっていることもあります。

室内機の電源が入ったことが確認できたら、外に出て室外機の送風ファンやコンプレッサーがちゃんと回りだしたか確認してみてください。

>>エアコンの室外機が動かない(回らない)原因と対処法まとめ

【原因⑤】排水経路が詰まってしまっているケース

ドレンホースの中に汚れが詰まって結露水が出ない

エアコンの排水経路のどこかで詰まりなどが発生してしまった場合、ドレンホースから水が出なくなることがあります。

本格的にドレンホースが詰まってしまった場合、行き場を失った水がエアコン室内機の方から水が漏れてくる可能性があります。

ドレンホースが詰まるとエアコンから水が漏れてくる

ドレンホースが詰まってしまった場合、エアコンの吹出口や本体底面などからエアコン動作中は連続的にポタポタと水が漏れてくるのが特徴です。

水漏れ量としては完全にドレンホースが詰まってしまっているような場合だと、1秒間に1~3滴程度、垂れて落ちてくることもあります。

ドレンホースから水が出なくなり、その後室内機から水が漏れてきたという場合は、ドレンホースなどの排水経路のつまりを疑っていきましょう。

例えば、ドレンホースの先端に植木鉢が置かれてしまっていたり、ドレンホースの先端が土の中に埋もれてしまっているような場合、結露水がうまく排水されず、行き場を失った水が室内機側で溢れ出してきます。

エアコン室内機の水漏れ原因はドレンホースの潰れ

この場合、ドレンホースの先端に置かれているものをどけたりして、水がドバーッと流れ出てきたら修理完了です。

この他にも、エアコン内部の冷却フィンなどについたカビやホコリがドレンパンの上に落ちてドレンホースに流れていき、その中でへばり付いてしまうと、結露水の流れが悪くなってドレンホースから水が出てこなくなり、室内機本体から水漏れが発生します。

ドレンホースの中に汚れが詰まって水漏れする

このドレンホースが詰まってしまう原因は長年の使用による汚れの蓄積もあるのですが、最近流行りのエアコン洗浄スプレーなどで落とされたフィン汚れがドレンホースをつまらせてしまうケースが多々見受けられます。

エアコン洗浄スプレーでフィン洗浄が詰まりの原因

エアコン洗浄スプレーの洗剤は強力なのでフィン汚れは簡単に落とせるのですが、その汚れを室外に排出するだけの十分な水量がありません。

特に、ドレンホースにはたくさんの凹凸があるためそこに汚れが引っかかってしまい、最終的にはドレンホースの流路を塞いでしまいます。

また、ドレンホースのつまりは、室内機側から流れ来る汚れ以外にも、室外側のドレンホース出口から親友してきた虫(コガネムシやハチ、ゴキブリなど)が原因で発生することもあります。

虫の死骸などがドレンホースをつまらせる

エアコンのドレンホースは地面から5~10cm程度浮かせて設置することが推奨(メーカーの据付工事説明書など)されています。

エアコンドレンホースの先端を地面から離す

ドレンホースの先端が地面に垂れた状態で設置していたりすると虫が侵入しやすくなりますので、注意が必要です。

なお、ドレンホースの先端に専用のキャップや目の荒いネットを設置しておけば、詰まりの原因となる虫が入り込めなくなりますので、ドレンホース詰まりの予防になります。

ドレンホースの先端にキャップを付けて虫の侵入を防ぐ

エアコンドレンホースの先端にネットを取り付けて害虫の侵入を防ぐ

もしも、ドレンホースが詰まってしまっている場合、サクションポンプや掃除機などを使えば、ドレンホース内の汚れを吸い出すことができます。

エアコン故障かどうか判定する簡単な方法

エアコン故障(ガス漏れの有無など)を判定する方法としては、ゲージマニホールドというエアコン専用の圧力計を使ってガス圧を測定していきますが、この方法は高価な専用の測定器具が必要ですし、圧力の高いガスの取り扱いには危険が伴います。

素人の場合はエアコン室内機の吸込空気温度(室内機上部の温度)と吹出空気温度(室内機の吹出口から吐き出される風の温度)の差が正常範囲にあるかどうかでガス漏れの簡易確認が可能ですので、そちらの方法を試してみるといいでしょう。

正常運転時の吹出口と吸込口の温度差

  • 冷房運転時;8~13℃が正常
    (設定風量;最大、設定温度;最低)
  • 暖房運転時;16~23℃が正常
    (設定風量;最大;設定温度;最高)

具体的には、冷房運転時の室内機の吸込と吹出温度差が8℃以下しかないような場合はエアコンガスが漏れている可能性が高いと考えていいでしょう。

具体的な温度測定方法としては、写真左側ような温度計(ホームセンターで2000円ぐらいで購入できる、本体部とセンサー部の2箇所で温度を測定可能)を使ったり、写真右側のよう非接触タイプの温度計(約2000円)を使って測定するのがいいでしょう。

エアコンのガス漏れを調べるための温度計

エアコンの吸込み温度を測定

エアコンの吐き出し温度を測定

このようにエアコンの吸込温度と吹出温度を測定し、その温度差が小さければエアコンが故障している可能性が高いと言えるでしょう。

>>ここをチェック!冷房が効かない原因とエアコン故障の見極め方

まとめ:エアコンのドレンホースから水が出てこない原因と故障判定方法

最後にこのページでお伝えしたいことの要点をまとめます。

頭の中を整理してくださいね。

ドレンホースから水が出ていないが故障ではないケース

水が出ない理由それぞれの原因
「冷房」や「除湿」運転をしていない・ドレンホースから出てくる水は冷房や除湿運転時の室内機で発生した結露水
・暖房や送風運転ではドレン排水はない(暖房除霜運転時における室外機排水を除く)
エアコンがあまり動いていない・ドレン排水の量はエアコンの稼働量(室外機内部にあるコンプレッサーの稼働率)に比例する
・気温が低い時期や短時間しかエアコンを動かしていない場合、ドレン排水はほとんど見られない

故障が原因でドレンホースから水が出なくなったケース

水が出ない理由それぞれの原因
排水経路が詰まっている・排水経路に汚れが溜まって詰まり、水がドレンホースの先端から流れ出て来ない
・長時間稼働させた場合、室内機から水漏れが発生する可能性が高い
冷媒ガスが漏れている・ドレン排水量(=室内の空気から除湿した水の量)はエアコンの冷房能力に比例する
・冷媒ガスが減るとエアコンの能力が落ちるため、ドレン排水量も減る
エアコンが動いていない・エアコンが故障して電源が入っていないこともある
・室内機は動いていても室外機だけが動かなくなるケースもあり。

エアコンの簡易点検方法

手順設定内容
エアコンを起動する冷房運転の場合
 →設定温度;最低、設定風量;最大
暖房運転の場合
 →設定温度;最高、設定風量;最大
室内機と室外機の動作を確認する・室内機から風が出ているか
・室外機のファンとコンプレッサーが回っているか
室内機の吸込と吹出温度の差を確認する冷房運転時
 →8~13℃が正常
暖房運転時
 →16~23℃が正常
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