エアコンが故障してしまった場合、修理するか新しいものに取り替えるか考えなければならなくなります。
ただ、機械にあまり詳しくない人にとって、エアコンを修理したほうがいいのか、買い替えたほうがいいのか、どちらのほうが得なのかよく分からず、困ってしまうことと思います。
特にエアコンは熱帯夜が続くような真夏に壊れることが多く、修理に2~3週間待たなければならなかったり、取り換えの場合でも在庫切れでほしい機種を手に入れることができないというようなことも多々あります。
エアコンは調子が悪いなと感じ始めたタイミングで、とにかく早め早めに判断していくのが鉄則です。
今回は、そんなエアコンの修理や買い替えに関して、技術的な観点や業者のノウハウを織り交ぜて詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
【ポイントその1】エアコンの形状
15~20年以上前の古いタイプのエアコンは、室内機本体の色が茶色だったり、吸気口が前面についているため前面パネルにスリットが入っていたりします。
こういった種類のエアコンは修理のための交換部品のメーカー在庫がなくなっていたり、たとえ修理できたとしても経年劣化によるその他の部分の故障のリスクがかなり高くなってきています。
また、後ほど紹介する冷媒というものが環境に悪い影響を与えるタイプのものになっていたり、冷暖房の効率が悪いため電気代が高いというデメリットがあります。
上記のようなエアコンの場合は、そのような手間と時間がかかる修理を引き受けてくれる業者はほとんどいませんし、基本的には新しいエアコンに交換したほうが安くつくことが多いです。
物を長く使うことは大事なことですが、もう15~20年近く使ったエアコンが故障した場合は躊躇せずに買い替えを検討していきましょう。
【ポイントその2】冷媒の種類
エアコンに使われている冷媒は、オゾン層破壊や地球温暖化に悪影響を与えるフロンガスが使われています。
15年以上前のエアコンの室外機に貼られているシールを確認してみると、オゾン層を破壊してしまうような冷媒(R22)が使われていると思います。
冷媒 | オゾン層破壊係数 | 地球温暖化係数 |
---|---|---|
R12(CFC) | 1 | 10900 |
R22(HCFC) | 0.05 | 1810 |
R410A(HFC) | 0 | 2090 |
R32(HFC) | 0 | 675 |
最近ではオゾン層破壊せず、更に地球温暖化係数も低いR32冷媒を使ったエアコンが主流になってきています。
エアコンは完全に壊れて動かなくなってしまうとエアコンを撤去する際に冷媒を室外機に閉じ込めておくポンプダウンという作業ができなくなり、冷媒が外に漏れてしまったり、専用の装置で冷媒を回収しなければならなくなったりします。
環境のためにも、取外して余計な手間と出費を避ける意味でも、R22などの古い冷媒が使われているエアコンの調子が悪くなったら環境に優しい冷媒が使われている製品への買い替えを検討していきましょう。
【ポイントその3】エネルギー消費効率
古いタイプのエアコンはエネルギー消費効率が小さく、電気代が高くなる傾向があります。
例えば、上記のような15年ぐらい前の小さなエアコン(2.2kW)の場合、エネルギー消費効率は冷房;2.65、暖房;2.99となっていますが、最近では冷房;4~5、暖房;5~6というのが一般的です。
つまり、上記の古いタイプのエアコンを最新のものに買い換えればエアコンの電気代は半分ぐらいで住んでしまうことになります。
ちなみに、ここ5~6年ぐらい前の機種からはエアコンの省エネ性能にそこまで大きな改善はありません。
ここでもう一つ知って置かなければならないことは、エアコンの経年劣化です。
稼働率の高いエアコンの場合、コンプレッサー(冷媒を圧縮するための部品)冷暖房効率は年平均で約3~5%づつ下がっていってしまいます。
エアコンを取り付けてから10年ぐらい経ってくると新品のときと比べてだいたい30%ぐらい能力が下がってしまっている(消費電力が増えている)ので、そういった事も加味して検討する必要があります。
こういったことを考えると、10~515年以上前のエアコンであればそこそこ電気代の節約効果も見込めますので、そのあたりも含めて買い替えの検討材料にしてみるのがいいと思います。
次のページでは、エアコン修理または買い替えの判断ポイント4~6についてお話していきます。