エアコン暖房で空気が乾燥してしまう3つの理由と対処法まとめ

エアコン暖房の動作原理について

エアコン暖房で空気が乾燥してしまうメカニズムを理解するためには、エアコンの暖房がどのような原理で動いているかを知る必要があるため、まずはじめに、エアコン暖房の動作原理についてお話していきます。

エアコンの暖房運転はヒートポンプという技術を使って、室外にある熱を室内に移動させる事によって部屋を暖める仕組みになっています。

出典)冷媒とは? | CSR・環境への取り組み|DAIKIN

具体的には、まず、室外機(部屋の外に設置されている機械のこと)側の熱交換器(アルミフィンの部分)を外気以下の温度(5℃からー5℃程度、常に外気温より5℃ぐらい低い)になように、熱交換器の中を通る冷媒(エアコン配管の中を流れる流体のこと)をわざと冷たい状態にします。

そうしてやると、冷媒によって冷たく冷やされた室外機の熱交換器は、室外機に取り込まれた暖かい外気によって暖められます。

エアコンの暖房時、室外機ではこのようなメカニズムで、外気が持つ熱を熱交換器の中に流れている冷媒に受け渡すことで、室外の熱をどんどん吸い取っています。

その後、その室外機で熱を受け取った冷媒は室内機(部屋の中についているエアコンのこと)の方まで流れてきて、室内機の中にある熱交換器(フィルターの奥に見えるアルミフィンのパーツ)に到達します。

エアコンのエアフィルターの汚れ

この時のアルミフィンの熱交換器の中を流れる冷媒の温度は約50℃前後となっています。

室内機の中にあるファンは室内の冷たい空気を吸い込んで、約50℃に暖められた熱交換器を通過させることにより、空気を温めます。

その熱交換器で暖められた空気は、その後、吹出口から温風(室温+20℃前後)が吹き出されるという形で、再び室内に戻されます。

これが、エアコン暖房の基本原理となります。

より簡単に言えば、エアコンの暖房をONすると、室内機側の熱交換器(室内のエアコンのカバーを開けて、フィルター奥に見えるフィンのこと)の表面が熱くなり、そこに室内の冷えた空気を流し込んで温め、その暖められた温風が吹出口から出てきていると考えておけばOKです。

ですので、エアコンは室内の空気を吸い込んだ後、その空気を温めてから吹き出しているだけなので、基本的にはエアコンの暖房では室内外の空気の入れ替わりはありません。

エアコンの室内機は、ただ単に室内の空気を吸い込んで、温めてから吹き出すということを繰り返しているだけとなっています。

気になる空気の乾燥についてですが、エアコンの暖房運転では部屋の中の空気と室外の空気の入れ替わりがないため、部屋から湿気がなくなっていく(部屋の中に存在している水分が室外に出される)ということはなく、エアコン動作前の冷えた部屋にあった水分の総量と暖房後の温まった部屋の中にある水分の総量について変化はありません。

このように、エアコン暖房の動作原理を考えると、部屋の中の水分量そのものには変化はなく、一般的に感じられる「エアコン暖房をつけると湿度が下がって部屋が乾燥する」ということとは矛盾してしまう結果となります。

エアコンの暖房運転によって室内外の空気の出入りがない(部屋の外に水分が出ていっていない、暖房前後の部屋にある水分量に変化はない)のに、部屋の湿度が下がって乾燥してしまうのはどうしてなのでしょうか?

ここで少し話が変わりますが、エアコンの冷房運転の場合は、暖房運転とは逆で室内機側の熱交換器を冷やすことで冷たい風を室内に放出しています。

出典)エアコンの秘密|原子力の科学館あっとほうむ

このため室内のエアコンに吸い込まれた空気中に含まれる水分が冷えたフィン表面で凝縮して露となり、それがドレンホース(室内機に接続されている露を室外に排出するためのホース)を通って室外に排出されるため、冷房運転中は部屋を冷やすだけではなく、部屋の湿気を室外に排出する除湿という機能も同時に作動しているということになります。

冷却フィンとドラン皿のイメージ図(冷媒ガス不足)

エアコンの室外機にドレンホースを取り付ける

上記の写真の場合、室内機に接続されたドレンホース(左側)と室外機の底部に接続されたドレンホース(右側、取付けていない場合が多い)の2本が見えていますが、冷房運転を行うと左側の室内機に繋がれたホースから部屋の中の空気中から奪ってきた水分を排出しています。

それに対して、暖房運転を行っている場合、部屋の中にある室内機の中の熱交換器のフィン部は熱い状態(約50~60℃)のため、エアコンの室内機に吸い込まれた部屋の空気がその熱交換器を通過してもそこでは水分の凝縮(空気が冷やされたときだけ発生する)は起こりません。

ですので、暖房運転中は、室内機から室外に水分は排出されておらず、実際に室内機に接続されている方のドレンホースの先端をバケツなどに突っ込んでおいても、水が出てこない事が確認できます。

ただし、暖房運転の場合は室外機の熱交換器(フィン部)が冷えているため、室外機のフィン部に霜が発生し、エアコンはその霜を定期的に溶かす霜取運転(室外機の熱交換器を加熱して霜を溶かす運転)を行います。

霜取り運転前の室外機に氷がついたアルミフィン

>>【エアコン故障?】室外機から水が漏れる原因とドレンホースの取付方法

この霜取り運転中は、室外機についた霜が出てくるので、エアコンが故障したとか、室内から水分を奪い去っているとか勘違いしてしまうこともありますが、この室外機に付着した水分は室外機が室外の空気中から奪ったもの(室外機に吸い込まれた室外の空気が冷えた熱交換器を通過する際にフィンに凝縮して凍ったもの)となります。

ここまで理解するとわかってくると思いますが、一般的な安価なエアコンの暖房運転では「室内から室外に排出される水分はない」ということを理解しておきましょう。

ここまでしっかりとエアコンの動作原理について解説したのは、稀にエアコンの暖房運転も冷房運転と同じような除湿作用があるから部屋が乾燥してしまうんだと勘違いしてしまう場合があるからです。

ここまでの話を理解することができれば、「エアコンの暖房運転でも冷房運転と同じような除湿作用が働いて室内が乾燥してしまう」ということはないことがわかると思います。

どうしてここまでエアコン暖房の動作原理と室内外の空気や水分の出入りがないということをお話したのかというと、このように室内をひとつの空間と考え、エアコン暖房はそこに出入りしているのは熱だけ(エアコン暖房をONする前と部屋が温まった後で変化しているのは、部屋の中にある熱の総量だけ)ということを理解しておいてほしかったからです。

※最近の高機能なエアコンの場合、暖房時に室外で吸収した水分を室内で放出する(加湿する)機能を持った機種(かなり高価なもの)も発売されていたりしていますが、このページをご覧の方は部屋が乾燥して困っている人だと思いますので、そのような高機能なエアコンは使っていない(一般的な安価なエアコンを使っている)という前提で話を進めていきたいと思います。

つまり、エアコンの暖房をONすると室内機から吹き出される温風によって部屋の中に熱が放出され、その結果部屋の室温が上がっているだけであり、それによってどうして空気が乾燥するのかということについては、この段階ではまだ理解できないのではないかと思います。

それは当然のことで、エアコン暖房で空気が乾燥するということを理解するためには、「暖かい空気は冷たい空気よりたくさんの水分を含むことができる」という空気の性質を理解する必要があります。

次のページでは、エアコンの暖房運転で空気が乾燥してしまう第一の原因となる「相対湿度」という考え方についてお話していきます。




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