暖房をつけたら冷たい風が出てきた!?
秋の終わりが近づき、朝晩の冷え込みが厳しくなってきましたね。そろそろ暖房の出番かな…とエアコンのリモコンを操作したものの、出てきたのはなぜか冷たい風!なんて経験はありませんか?
実はこれ、エアコンの暖房時に起こる、よくあるトラブルの一つなんです。
「あれ?冷房はちゃんと効くのに…」
そう思われた方もご安心ください。この記事では、エアコンで冷房は効くのに暖房だけが効かない原因 と、その対処法を分かりやすく解説していきます。
この記事で分かることはこちら!
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▶ステップ1:状況確認
エアコンが暖かくならない場合の故障診断を行います。
エアコンが暖かくならないのですね。まずは今の状態の確認を行いますので、以下の中から症状を選んでください。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの故障診断のエキスパート、taichanです。大学院でヒートポンプを研究し、特許も取得。大手電機メーカーで培った知識と15年以上の現場経験を活かしたセカンドオピニオンを無料相談Q&A(空調テック)で提供中。電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など、多数の資格を保有。
暖房が効かない!まずは自分でできるチェックポイント
エアコンはちょっとしたことが原因で暖房の効きが悪くなってしまうことがよくあります。
その場合、設定やメンテナンスをやり直せばエアコンの効きが良くなり、また部屋を温かくすることができるようになりますので、以下の内容をチェックしてみて下さい。
リモコン設定のチェック(4項目)
リモコンは、エアコンに指示を出すための重要なパーツです。
エアコンは一般的な暖房器具より設定項目が多いため、設定ミスなどが原因で暖房が弱くなってしまっていることがよくあります。
リモコンを手に取って一つ一つボタンを操作しながら読み進めていって下さい。
運転モードが冷房や除湿、送風などになってしまっていると、いくら設定温度を上げてもエアコンから暖かい風が出なくなってしまいます。
念のため、リモコンの運転切り替えボタンを押して、運転モードを暖房や自動に切り替えてみて下さい。
運転切り替え直後は5~10分ほど温風が出てくるまで時間がかかりますので、しばらく待つようにしましょう。
エアコンの暖房は、部屋の温度が設定温度になると温風を停止する仕組み(送風運転のみ、室外機は停止)になっています。
節電のために設定温度を低めにする場合もありますが、暖房の効きが悪い場合は設定温度を23℃以上に設定し、室内機から温風が出続けるように変更してみましょう。
エアコンは風量が微風や弱などになっているとノロノロ運転になってしまい、吹き出される温風の量が減ってしまいます。
最大能力で暖房を運転するためには、風量を最大や自動などに設定しておく必要があります。
暖房の風量を弱くすると、室外機の中にある冷媒ガスを送り出すための圧縮機の回転数も下がってしまいます。エアコンは冷媒ガスをたくさん循環させた方が能力が上がりますので、風量は強めに設定することをおすすめします。
電気代を節約するため省エネモード(控えめ運転など)を設定している場合、暖房能力が弱くなってしまいます。
省エネモードを解除し、逆にハイパワーモードなどに設定してみましょう。
室内機のチェック(2項目)
エアコンの室内機は室外機から送られてくる高温の冷媒ガスを使って吸い込んだ空気を温め、温風にしてから吹き出すという仕組みで動いています。
室内機は風周りが悪くなると暖房の効きが悪くなるため、以下の内容を確認していきましょう。
エアコフィルターにホコリや汚れが溜まってしまうと、室内機が空気をうまく吸い込むことができなくなるため、暖房の効きが悪化します。
前面パネルを開けてフィルターの汚れ具合を確認し、汚れている場合はフィルターを掃除して下さい。
お掃除機能付きエアコンの場合は、ダストボックスなどがホコリで満タンになってしまっていないかなども確認しておきましょう。
室内機の真下に家具などが置かれている場合、吹き出された温風がうまく部屋中に行き渡らず、暖房の効きが悪くなります。
また、吸込口(上面)にカーテンが被さってしまったり、室内機の天面に被せるタイプのエアコンフィルターを取り付けていているような場合、そのフィルターにホコリが溜まっていてうまく空気が吸い込まれなくなっていることもあります。
エアコンの効きを良くするポイントはこういった風周りの部分が重要ですので、一度確認してみて下さい。
室外機のチェック(3項目)
エアコンの室外機は、背面から外気を吸い込んで冷媒ガスに熱を取り込み、その冷媒ガスを高温高圧の状態にして室内機に送り出しています。
そのため、室外機は常に新鮮な空気を取り込み続けなければうまく外気から熱を吸収することができなくなってしまい、室内機に送られる冷媒ガスの温度も下がってしまうことになります。
一度室外機の状態を確認し、ファンの回転や風の流れを邪魔するようなものがないかどうか、以下の内容をチェックしてみて下さい。
室外機が屋根の上などの高いところに取り付けられている場合は、無理はせず、以下の項目を読み飛ばしてもらってもOKです。
室外機のファンの動きが鈍くなると、暖房の効きが悪くなってしまいます。
植物やゴミなどの異物が室外機の中に入り込んでファンの動きを邪魔していたりしないか確認してみて下さい。
室外機のファンが全く回っていないような場合は、こちらの記事が参考になります。
室内機と同様に、室外機の風周りが悪くなると暖房能力が弱くなってしまいます。
室外機の周りにたくさん物が置かれている場合は、それらを別の場所に移動するなどして片付けましょう。
室外機の排気口を覆うようなエアコンカバー(木製のラティスタイプなど)も風周りが悪くなる原因となりますので、エアコンを使っている時は取外した方がベターです。
暖房をスタートしてから1~2時間が経過した頃、突然温風が止まって室内機から「プシュー・・」、「ポコポコ・・・」という音が聞こえてくることがあると思います。
エアコンは外気温が5℃を下回るような状態で暖房運転を行うと、室外機のアルミフィン部に霜がびっしりとついてしまうようになるため、それを溶かして取り除くための霜取り運転が必要となります。
急に温風が止まってしまうとエアコンが壊れてしまったと驚いてしまうと思いますが、15分程度で復旧して再び温風が吹き出してきた場合、故障ではありませんので安心して下さい。
霜取り運転中は室外機から大量の水が漏れてきますが、溶けた霜が流れ出てきているだけですので、正常動作となります。霜取り運転の影響で効きが悪いと感じる場合は、霜取り運転中も風が止まりにくい寒冷地仕様のエアコンへの買い替えを検討が必要です。
エアコンの効きの確認
エアコンの点検お疲れ様でした。
ここで一度エアコンの吹き出し口に手をかざして、ちゃんと温風が出ているか確認してみてください。
ここまでの手順でエアコンの効きが戻った場合、しっかりと温まった風が手を押し返すぐらいの勢いで吹き出してきているはずです。
この時点でまだ温風が弱い、または風が冷たいという場合、もう少し本格的な点検(場合によっては修理)が必要となってきますので、記事の後半でお話していきます。
エアコンをリセットして一時的なエラーを解消する
エアコンのリセットとは、基板などに溜まっている電気を抜くことによって、一時的なエラーを解消する方法のことです。
エアコンのリセット方法
エアコンのリセット方法は機種によって異なりますが、一般的には以下の手順で行います。
- エアコンの電源を切る:
リモコンまたは本体の電源ボタンでエアコンの電源を切ります。 - コンセントプラグを抜く:
エアコンのコンセントプラグを抜きます。 - 数分間待つ:
5分ほど待ち、エアコンの内部回路をリセットします。 - コンセントプラグを差す:
エアコンのプラグをコンセントに差します。 - エアコンの電源を入れる:
リモコンまたは本体の電源ボタンでエアコンの電源を入れます。
リセット後の確認
エアコンのリセット後、以下の点を確認してください。
- 室外機が動き出したか
- 暖かい風が出ているか
エアコン本体の動作確認
エアコン本体に問題がないかを確認するために、「応急運転ボタン」を押してみましょう。応急運転ボタンは、エアコン本体にある、通常は小さくて目立たないボタンで、リモコンを使わずにエアコンを起動できる機能です。
応急運転スイッチの使い方
ルームエアコンには「応急運転スイッチ」というものが室内機本体の下側や前面パネルを開いたところについていて、この応急運転スイッチを使えば、リモコンを使わずにエアコンを起動する事ができます。
- 取扱説明書をよく読み、応急運転ボタンの位置を確認します。
- ボタンが小さい穴に隠れている場合は、細い棒などを使って押します。
- 応急運転ボタンを押すと、エアコンが起動します。起動する運転モードや設定温度は、メーカーや機種によって異なります。
応急運転後の確認
エアコンの応急運転を行った後、以下の点を確認してください。
- 室外機が動き出したか
- 暖かい風が出ているか
この応急運転スイッチでエアコンを強制起動した結果、ちゃんとエアコンが動いたようであればエアコン本体の基本機能に異常はないということになります。
冷房は効くのに暖房が効かない場合の主な原因
冷房は効くのに暖房だけが効かない場合、エアコン本体に不具合が発生している可能性があります。
エアコンでよくある原因は以下の通りです。
エアコンが冷房と暖房を切り替えるために、室外機の中に「四方弁」と呼ばれる重要な部品があります。これは、冷媒(エアコンを冷やしたり温めたりするガス)の流れ道を変えることで、冷暖房を切り替える役割を担っています。
冷房運転時の冷媒の流れ
暖房運転時の冷媒の流れ
イメージとしては、電車のポイント切り替えのようなものですね。レールを切り替えることで、電車の進む方向が変わります。四方弁も同様に、冷媒の流れ道を変えることで、冷房と暖房を切り替えているんです。
この四方弁が故障してしまうと、冷房は正常に動作するのに、暖房だけができなくなることがあります。
四方弁の故障には、主に2つのパターンがあります。
- 電磁コイルの故障:
四方弁を動かすための電磁コイルが壊れてしまうケース。経年劣化やサビなどが原因で起こりやすいです。 - 四方弁本体の故障:
四方弁自体が壊れてしまうケース。こちらは比較的稀なケースですが、発生すると修理費用が高額になる傾向があります。
四方弁が故障すると、暖房運転時に冷たい風が出てくる、といった症状が現れます。
もしこのような症状に心当たりがあれば、四方弁の故障を疑ってみましょう。
四方弁の修理費用相場
症状 | 故障原因と修理費用相場 |
---|---|
暖房が動かない(冷たい風が出てくる) | 【故障原因】電磁コイル(四方弁)の故障 【修理方法】電磁コイルの交換 【料金相場】1~3万円 |
【故障原因】四方弁本体の故障 【修理方法】四方弁の交換(ロウ付け) 【料金相場】8~17万円 【備考】可能性は低い。メーカー保証(5年)の可能性有 |
※修理費用の相場は、メーカーサポートに依頼した場合のおおよその金額です。
電磁コイルの故障であれば、交換だけで修理が完了します。しかし、四方弁本体の故障となると、溶接を伴う大掛かりな修理が必要になるため、費用が高額になります。
場合によっては、エアコンの買い替えを検討した方が良いケースもあるでしょう。
エアコンには、人間の頭脳のように、全ての動作を制御している「制御基盤」と呼ばれる部品があります。
この制御基盤が故障すると、エアコンは正常に動作しなくなってしまいます。 例えば、四方弁の切り替えを指示できなくなることで、暖房だけが効かなくなる、といった症状が起こる可能性があります。
制御基盤の故障が疑われるケース
- 四方弁を磁石で手動操作したら、冷房も暖房も正常に動作した。
- 暖房運転時にエラーコードが表示される。
- エアコンが全く反応しない。
制御基盤の修理費用相場
症状 | 故障原因と修理費用相場 |
---|---|
暖房が動かない(冷たい風が出てくる) | 【故障原因】基盤の故障 【修理方法】部品交換 【料金相場】1~3万円 |
※修理費用の相場は、メーカーサポートに依頼した場合のおおよその金額です。
制御基盤の故障は、基盤の交換修理によって改善されます。
ただし、基盤の不具合は、ちょっとした原因で発生することがあります。 そのため、エアコンの電源プラグを抜き差しして本体をリセットするだけで、復旧する可能性も十分にあります。
専門業者に点検を依頼する前に、一度、以下で紹介する本体リセットを試してみることをおすすめします。
エアコン内部では、「冷媒ガス」と呼ばれる物質が循環することで、部屋を冷やしたり温めたりしています。
この冷媒ガスが、配管の劣化や接続部分の緩みなどによって漏れ出てしまうと、エアコンは正常に動作しなくなります。
特に暖房の場合、冷媒ガスが不足すると、温かい風が出にくくなるため、部屋が暖まりにくくなります。
冷媒ガス漏れの特徴
- 暖房運転時に生ぬるい風しか出てこない。
- 冷房は効くように感じる。(※外気温が低い場合は、ガス漏れしていても冷風が出る場合がある)
冷媒ガス漏れの簡易チェック方法
専門業者は「ゲージマニホールド」や「リークチェッカー」という専用の計測機器を使ってガス漏れの有無を確認しますが、実は素人でも簡単にチェックする方法があります。
それは、エアコンの吸込口と吹出口の温度差を測ることです。
- STEP1:暖房運転で温度と風量を最大にする
まず、エアコンを暖房運転に設定し、温度設定を最高、風量を最大にします。 - STEP2:吸込温度と吹出温度を測定する
吸込温度:エアコン上部(天井付近)の温度を測定します。
吹出温度:エアコンの吹出口から出ている風の温度を測定します。
- STEP3:温度差を確認する
- 吹出温度と吸込温度の差が 16~23℃ の範囲内であれば、正常に動作していると考えられます。
もし、エアコンから暖かい風が出るものの、温度差が16℃よりも極端に小さい場合は、冷媒ガスが漏れている可能性が高いです。
冷媒ガス漏れの修理費用相場
症状 | 故障原因と修理費用相場 |
---|---|
暖房が効かない(生ぬるい風しか出てこない) | 【故障原因】冷媒ガス漏れ(継ぎ手部分) 【修理方法】ガス漏れ修理(フレア加工)とガスチャージ 【料金相場】1~3万円 |
【故障原因】冷媒ガス漏れ(配管パーツの腐食など) 【修理方法】ガス漏れ修理(ロウ付けまたは部品交換)とガスチャージ 【料金相場】8~17万円 【備考】可能性は低い。メーカー保証(5年)の可能性有 |
※修理費用の相場は、メーカーサポートに依頼した場合のおおよその金額です。
冷媒ガス漏れの修理費用は、漏れ箇所や修理方法によって大きく異なります。配管の接続部分からの軽微な漏れであれば、比較的安価に修理できますが、熱交換器などからの漏れの場合は、高額になる可能性があります。
まとめ|暖房トラブル解決のヒント
エアコンで「冷房は動くのに暖房が効かない」という場合、以下の3つの原因が考えられます。
- 四方弁の不具合:
冷媒の流れを切り替える四方弁が故障している。 - 制御基盤の故障:
エアコンの動作を制御する基盤が故障している。 - 冷媒ガス漏れ:
冷媒ガスが漏れてしまっている。
これらのトラブルに対処するには、以下の方法を試してみましょう。
- 本体リセット:
エアコンの電源プラグを抜き差しして、本体をリセットする。 - 強制起動:
応急運転スイッチを使って、エアコンを強制的に起動する。 - 温度差チェック:
吸込口と吹出口の温度差を測り、冷媒ガス漏れがないか確認する。
エアコンのトラブルは、早めの対処が大切です。もし、解決しない場合は、メーカーの修理窓口に連絡しましょう。
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