梅雨から夏の時期にかけて困ってしまうことと言えば、部屋がジメジメしてしまうことだと思います。
エアコンで除湿しようと思っても湿度は下がらず、部屋の温度だけ下がってしまって体が冷えてしまうこともよくあります。
部屋の湿度が高いとジメジメして不快に感じてしまうだけではなく、カビ菌が繁殖してニオイがしたり、その胞子を子どもが吸って咳が出て止まらないなどの健康被害にも繋がってしまいます。
なるべく自然素材で調質しようと思っても、木材や炭、土(珪藻土やエコカラットなど)、新聞紙の調湿作用は極めて小さく、部屋にちょこっと置くぐらいでは全く効果がありません。
なぜなら、梅雨や蒸し暑い夏の時期に部屋を除湿するということは、一日で数リットル~十数リットルの水分を空気中から取り出す必要があるからです。
例えば、事前に重さを測っておいた炭を5~6本部屋に置いておき、1日後に重さを計り直したら水分をたっぷり含んでいて十数キロも重くなっていた・・・なんていうことは現実的に考えられないでしょう。
凍らせておいたペットボトルを部屋に置いておいたとしても、1日でせいぜい数十グラムの水しか除湿できません。
実際のところ、カラッと快適な部屋(湿度を60%以下)にするためには、部屋の中よりも室外の方が乾燥しているタイミングで換気をしたり、エアコンや除湿機など電気エネルギーを使って空気から水分を抜き取って捨てるという方法が最も効果的です。
さらに言えば、電気代が安いと言われているヒートポンプ式の除湿機よりもエアコンの除湿(弱冷房)の方が1.4~1.5倍除湿効率が高く省エネであることをご存知でしょうか?
今回は、巷で話題の除湿グッズからエアコンと除湿機を併用して効果的に部屋の湿度を下げる方法について、詳しくお話していきます。
この記事の監修者「taichan」
エアコンの困った解決!15年以上の実績を持つ空調のプロ「taichan」があなたの快適な暮らしをサポートします。大学院でヒートポンプの研究を行い、特許も複数取得。大手電機メーカー勤務後はエアコン取付修理の実務経験も積んでいます。エアコン選び、使い方、故障・トラブル、クリーニング、省エネまで、どんなお悩みにもお答えします。【保有資格】電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など
過ごしやすい部屋の湿度の目安
梅雨から夏にかけての時期は、カラッとしていて過ごしやすい部屋の湿度というのはおおよそ65%以下(温度は27~28℃)とされています。
これは部屋にカビが生えない条件(70%以下、カビは湿気のないところでは生きられない)とも一致しているため、「カラッと過ごしやすい部屋だなぁ」と感じられるようになったら、カビが生える事ができない環境を作り出すことができているということになります。
ただ、日本の一般的な住宅の場合、雨が降ると湿度が80%付近まで上がってしまうこともありますので、部屋の湿度を65%以下に保つというのは相当大変で、真面目に考えていかないとなかなかそのレベルに到達することは難しいでしょう。
また、蒸し暑さは人によって感じ方が異なってきますので、温湿度計を購入して湿度を定期的に観察し、これから行っていく除湿方法が本当に効果的かどうか検証していくことをおすすめします。
部屋の湿度を上げてしまう主な原因
次に考えておきたいことは、部屋の湿度を上げてしまう原因には、一体どういったものがあるのかということです。
普段あまり気にしないと思いますが、部屋の中には湿気の原因となるものがたくさんあります。
家の中で湿気がありそうなところと言えば、キッチンやお風呂場、トイレなどが思いつくと思います。
このような湿気が出やすい場所には換気扇が取り付けられていることが多いので、それらが直接的に部屋の湿度を上げるということはあまりありません。
では一体何が部屋の湿度を上げてしまう原因になっているのでしょうか?
よくやってしまいがちな部屋の湿度を上げてしまう行為といえば、部屋干しが挙げられます。
洗濯機から衣類を取り出したときの重さのうち約半分は水分の重さなので、部屋で干した洗濯物が乾いたということはそれだけの水分(3~5kg)を部屋の空気が吸い取った、つまり部屋の湿度が上がったということになります。
食器洗い乾燥機がある場合、食器洗浄後の乾燥で湿気が部屋に放出されます。
冷蔵庫も毎日1回程度、熱交換器に付いた霜を溶かして冷蔵庫の裏側にある蒸発皿に集め、そこで空気中に蒸発させていたりします。
冷蔵庫では運転時に、庫内についた霜を溶かして蒸発皿へ集めます。
蒸発皿にたまった水は、定期的に放熱器などの熱で蒸発してゆきます。
下記をご確認ください。
- 冷蔵庫のドアがしっかり閉まっていますか(パッキンに物がはさまっているなど)?
- 電源を切ると蒸発動作をしなくなりますので、電源を入れ、冷蔵庫を運転させてください。 引っ越しや移動などで冷蔵庫の電源を切ると、蒸発の動作をしなくなります。
また庫内の霜が急に溶けることになり、蒸発皿に水が大量にたまります。- 一度、蒸発皿をはずし水を捨ててから、様子を見てください。
蒸発皿とは
冷却機に付いた霜は、自動的に溶かされて(1日に1回程度)受け皿にたまります。
たまった水は放熱器などの熱で蒸発します。この一時的に水がたまる受け皿が、「蒸発皿」です。
電源を抜くタイミングによって、水がたまっていないことがあります。
家の中に大きな水槽(60cmなど)がある場合、そこから毎日2リットル程度の水が蒸発して空気中に放出されています。
また、部屋の中にいる自分自身からも一日あたり約1リットル(呼吸によって約400ml、発汗によって約600ml、一人一日あたりの量)もの水分が発生しています。
例えば吐き出す息からも水分が放出されている。呼吸により失われる水分は、1日あたり400ミリリットル程度といわれている。また、不感蒸発といい、皮膚から水分は蒸発している。発汗を感じていないときにも行われて、その量は1日あたり600ミリリットル程度とされている。
更に言えば、24時間換気システムからも一日あたり10~13kgもの水分が家の中に入ってきてしまっています。
>>【梅雨湿気】24時間換気で家の中に入ってくる水分量の計算方法
よくよく考えてみれば、部屋の中にはたくさんの水蒸気の発生源があるため、何も対策をしなければ部屋の湿度が上がってしまうことは納得ができますね。
次のページでは、自然素材の除湿アイテム(木材、土壁、珪藻土、エコカラット、木炭、新聞紙など)と電気を使うエアコンと除湿機などの具体的な除湿能力を比較していきます。