除湿できない(暖房で乾燥する)

【除湿グッズ】部屋の湿度を効率良く下げる省エネな除湿方法まとめ


実は効果が小さい自然素材の除湿アイテム

最近、繰り返し使えて経済的な自然素材の除湿グッズが注目を集めています。

例えば、木材(無垢材や家具)や土壁(珪藻土、エコカラット)、木炭、新聞紙を丸めたものなど、調湿作用のあるものを部屋の中においてけば湿度を下げられるのではないかと考えている人もいると思います。

ただ、それらの素材が吸収できる水分量というのは限りなく小さいというのが実際です。

以下に自然素材1kgあたりの調湿能力(1日分)の一覧表を記載しておきます。

材料名調湿能力参考文献
木材0.0055 L/kg・日木と土の調湿性ってどれくらい?|With the Earth
土壁(塗り拡げた場合)0.345 L/kg・日木と土の調湿性ってどれくらい?|With the Earth
木炭0.06 L/kg・日活性化木炭製品データ集・技術資料 – 東北カーボン

上記のように自然素材のものが吸収できる水分量というのは限りなく小さいというのが現実です。

例えば、凍らせたペットボトルを一日部屋においておくと数十グラムの水を除湿することができますが、自然素材の調湿グッズの除湿量それと同レベルか、それよりも小さい物が多く、部屋の除湿のように一日に数リットルから数十リットルの水分を取り除くためには、そういった素材を大量に使用しなければならないということを理解しておきましょう。

この他に、塩化カルシウムを使った除湿剤(押し入れに入れておくタイプ)は数十日かけて500~800mLの容器がいっぱいになる程度なので、こういったものも空間の広い部屋の除湿には使えません。

エアコンの除湿能力について

エアコンのルーバーが小さい

次に知っておきたいことは、除湿機やエアコンがどれぐらいの除湿能力を持っているのかということです。

エアコンの除湿能力については東京電力の実験結果がとても参考になります。

エアコンの除湿能力

エアコンの消費電力とコスト

エアコンの除湿能力の実験条件

出典)調査結果ならびに「冷房」と「除湿」の違いと、上手な使い方|TEPCO

上のグラフを見ると、エアコンは冷房運転をしているときが一番除湿能力が高い事(たった1時間で2.3kgも除湿できる)がわかると思います。

ちなみに安価なエアコンの「除湿運転」というのは弱冷房除湿(弱い冷房運転)のことをいいます。

冷房、除湿、再熱除湿の仕組み

出典)調査結果ならびに「冷房」と「除湿」の違いと、上手な使い方|TEPCO

その名の通り弱冷房なので消費電力は小さくなりますが、その分除湿能力も小さくなってしまいます。

上記の数値から除湿効率を考えると若干除湿(弱冷房除湿)の方が2割ぐらい効率よく水分を除去できるということも知っておくといいと思います。

  • 冷房;電気代1円で0.21リットルを除湿
  • 除湿(弱冷房);電気代1円で0.27リットルを除湿
  • 再熱除湿;電気代1円で0.10リットルを除湿

例えば、押し入れに入れておくタイプの除湿剤は550mL✕3パックで150円ぐらいしますので、1円あたり0.011リットルしか除湿できないことになり、エアコンのほうが20倍程度効率よく除湿できるということになります。

エアコンは電気代が高いイメージがありますが、ちゃんと計算してみると意外に効率よく除湿できる道具だということがわかってきます。

この実験は2.8kWという大きめのエアコン(10畳用)を使っていて設定温度を24℃にして運転させているので、消費電力などもかなり大きめの値になっていますが、小さなエアコンを使ったり、または設定温度を28℃ぐらいに上げて使うような場合は単純に消費電力が小さくなり、除湿能力も小さくなっていくと思ってもらえればいいと思います。

色々とお話していきましたが、ここで理解しておきたいことはエアコンをしっかりと稼働させた場合、一日に数十リットルもの大量の水分をアルミフィンの部分でキャッチし、その水分をドレンホースから室外に除去することが出きるということです。

エアコン除湿とドレンホースの流れのイメージ

エアコンから出るドレン水

除湿機の除湿能力について

除湿機を使って部屋の湿度を下げる

もう一つ部屋の湿度を下げるのに効果的なのが除湿機です。

除湿機には、気温の高い時期(だいたい25℃以上が目安)に効率よく除湿できるヒートポンプ(コンプレッサー)式と気温が低い時期でも除湿ができるゼオライト(デシカント)式、その両方の仕組みを一つの除湿機の中に収めたハイブリッド式があります。

今回は梅雨から夏にかけての部屋のジメジメ対策の話をしていくので、デシカント式に比べて6~7割程度効率の良いヒートポンプ式(またはハイブリッド式)を使うということで話を進めていきます。

除湿機の除湿能力は、カタログや除湿機の裏に貼られているシールなどをよく見てみるとわかります。

除湿機能らに貼られているシールに除湿能力

上記の除湿機は家庭用としては中型のものになりますが、除湿能力は1日で10L前後になります。

先程のエアコンの除湿効率という観点から考えると1円あたり0.17リットルとなり、ヒートポンプ式の除湿機を使ったとしてもエアコン除湿(1円あたり0.27リットル)よりかなり効率が悪くなってしまうということがわかります。

エアコンもヒートポンプ式の除湿機も除湿を行う仕組みは同じなのにどうしてこんなにも除湿効率に差が出てしまうのかというと、エアコンと除湿機ではアルミフィン熱交換器の大きさに4~5倍も違いがあるからです。

ヒートポンプ式除湿機の熱交換器

除湿機の熱交換器の大きさは本体の中の上半分といった感じです。

除湿機はコンパクトに作る必要があるため、その中に収まっている熱交換器も小さくなってしまいがちです。

エアコンの熱交換器の大きさ

それに対してエアコンの場合は、室内機の7~8割がアルミフィン熱交換器になっていて、写真で見てわかる部分の裏側にももう一つ同じサイズの熱交換器が入っています。

エアコンや除湿機の省エネ(空気を冷やす、除湿する)は出きる限りこの熱交換器を大きくする(コストアップにはなってしまうのだが)ことがとても重要です。

つまり、これは単純に構造上の問題で、除湿機よりエアコンのほうが除湿効果を生み出す熱交換器の表面積が大きいため、その分圧倒的に効率よく除湿することが可能となっています。

除湿機のヒートポンプ式とデシカント式でどちらが効率がいいかという話はよく聞くと思いますが、エアコンと除湿機の除湿効率の話はあまり出てきません。

ですが、こういったことを理解しておけば基本はエアコンの除湿(弱冷房運転)を使って除湿した方が電気代が安くなるということを理解しておいたほうがいいと思います。

次のページでは部屋の湿度を劇的に下げる具体的な方法についてお話していきます。

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