除湿できない(暖房で乾燥する)

【部屋の湿度が下がらない】エアコン除湿が効かない原因と対処法まとめ


エアコンのルーバーが小さい

梅雨や蒸し暑い夏の夜などに困ることといえば、エアコンの除湿をしてもなかなか部屋の湿度が下がらないことだと思います。

日によってはエアコンで除湿運転をしていても湿度が70%以上になってしまっていることすらあり、部屋中がジメジメしてしまって、夜も寝苦しく感じられるのではないでしょうか。

ただ、ここで知っておいてほしいことは、エアコンの除湿運転で湿度が下らない理由はエアコンの故障や除湿機能の能力不足が原因ではないことがほとんどだということです。

それは一体どういうことなのか?

そこで今回は、エアコンの除湿が効かない本当の原因から、除湿機を使わずに(買わずに)部屋の湿度を下げる具体的な方法まで、詳しくお話していきます。

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プロフィール

この記事の監修者「taichan」


エアコン修理の実務経験が豊富な元メーカー勤務のエンジニア。保有資格は、第三種電気主任技術者、第一種電気工事士、第一種冷凍機械責任者など。


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エアコンの除湿運転の動作原理について

まずはじめに、エアコンの除湿運転の原理についてお話していきます。

エアコンの除湿運転は別名「弱冷房」と呼ばれているのですが、基本的には冷房運転と同じような形で動作しています。

具体的には、室内機の配管内に冷たい冷媒という液体(気体のときもある)が入ってきて、それがアルミフィンを冷やします。

出典)エアコンの秘密|原子力の科学館あっとほうむ

そのアルミフィンの間を部屋から取り込まれた空気が通過することによって、吹出口から冷たい風が出てくるというのがエアコンの冷房運転です。

ここで知っておきたいことは、暖かい空気(温度が高い空気)は冷たい空気(温度が低い空気)よりたくさんの水分を含むことができる性質があるということです。

このことは大学の工学部などで湿り空気線図というものを勉強するとよく分かるのですが、そのことを話し出すと話が長くなってしまうので、詳しいことは省略します。

ただ、真夏に氷水を入れたコップの外表面に水滴が付くのをイメージしてもらうとよく分かるのですが、たくさんの水分を含んでいる湿った温かい空気がコップの外表面にぶつかり冷やされると、冷たくなった空気はたくさんの水分を保持しておくことができません。

その結果、コップの表面に空気が持っていられなくなった水分が付着します。

エアコンの内部でもこれと同じことが起こっていて、室内機が吸い込んだ空気が冷たいアルミフィン部を通過する際、冷たくなった空気が持っていられなくなった水分がアルミフィン部に付着します。

冷却フィンとドレン皿、ドレンホースのイメージ図

そして、冷却フィンについた水分が水滴となってドレン皿に落ち、それがドレンホースを伝わって室外に排出されます。

エアコンのドレンホースから出てくる水

ここまで話を進めるとわかってくると思いますが、室外機の脇にあるドレンホースからポタッ、ポタッ・・・と出てきている水は、元々は室内の空気が持っていた水分です。

これがエアコン除湿の動作原理です。

ちなみに、エアコンの冷房運転と除湿運転の主な違いは、部屋を冷やす冷房能力(室外機のコンプレッサーの出力)の違いです。

  • 冷房運転;冷却能力と除湿能力が大きく、消費電力も大きい
    ↑部屋を冷やしたい時に使う
  • 除湿運転;冷房能力と除湿能力が小さく、消費電力も小さい(弱冷房とも言われている)
    ↑部屋は冷やしたくないが、除湿はしたいときに使う

ここまで話を進めると大まかにエアコンの除湿の原理が分かってくると思います。

運転モードによる除湿能力と除湿効率の違い

よく素人の人が混乱してしまうことの代表例として挙げられることは、エアコンの除湿運転よりも冷房運転の方が除湿能力が大きい(冷房運転>除湿運転)という点です。

このエアコンの運転モードの違いによる除湿能力の変化については、東京電力の実験結果がとても参考になります。

エアコンの除湿能力

エアコンの消費電力とコスト

エアコンの除湿能力の実験条件

出典)調査結果ならびに「冷房」と「除湿」の違いと、上手な使い方|TEPCO

上記のグラフを見てみると、除湿運転よりも冷房運転のほうが約2倍近もの水分を除湿できていることがわかります。

これはどういうことかというと、エアコンで除湿できる水分の量というのは、室内から奪った熱の量と比例関係にある、つまりエアコンはたくさん部屋を冷やしている(コンプレッサーが元気よく回っている、電気をたくさん消費している)時にたくさんの水分を室外に排出する仕組みになっています。

ですので、冷房能力の小さい弱冷房(除湿運転)では、除湿できる水分の量も少なくなってしまうというわけです。

特に、梅雨の時期や夜間などの部屋がそれほど暑くない(室温が高くない)状態で除湿運転をしてもほとんどエアコンのコンプレッサーは動いておらず、部屋の中の空気が持っている水分量のほうがエアコンで除湿できる水分の量よりも圧倒的に多い状態となっています。

このため、除湿運転をしていても体感的には部屋がジメジメしたままで湿度が下がらないという結果になってしまうのです。

このような話をするとエアコンの除湿機能に少しがっかりしてしまったところもあると思います。

ですが、エアコンの除湿モードは冷房運転よりも除湿効率そのものはは10~20%程高いため、除湿のために必要となる電気代は安くなる傾向があります。

除湿効率(1円で除湿できる水分量)の比較

除湿方法除湿効率
エアコン冷房0.21リットル/円
エアコン除湿(弱冷房)0.27リットル/円
エアコン再熱除湿0.10リットル/円
除湿機(ヒートポンプ式)0.17リットル/円
除湿機(デシカント式)0.10リットル/円
除湿剤(押入れに置くタイプ)0.01リットル/円

特に除湿機を使って除湿をするのは特に効率が悪く、比較的電気代が安いと言われているヒートポンプ式でさえエアコン除湿の1.5~1.6倍の電気代がかかってしうのが現状です。

このように基本的にはエアコンを使って除湿するのが一番安上がりなのですが、重要なのは部屋があまり熱くないときにどうやってエアコンで除湿するかということです。

次のページでは、エアコンの除湿能力を高める具体的な方法についてお話していきます。

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