「エアコンの冷房が効かない…」 暑い夏にエアコンが動かなくなると、本当に困りますよね。 修理を依頼する前に、まずは自分でできることを試してみませんか?
この記事では、エアコンの構造を分かりやすく解説しながら、冷房が効かない時の原因と自分でできる対処法、そして修理が必要な目安について詳しくご紹介します。
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▶ステップ1:状況確認
エアコンが効かない場合の故障診断を行います。
エアコンが効かないのですね。まずは今の状態の確認を行いますので、以下の中から症状を選んでください。
この記事の監修者
「taichan(たいちゃん)」
エアコンの故障診断のエキスパート、taichanです。大学院でヒートポンプを研究し、特許も取得。大手電機メーカーで培った知識と15年以上の現場経験を活かしたセカンドオピニオンを無料相談Q&A(空調テック)で提供中。電気主任技術者、電気工事士、冷凍機械責任者など、多数の資格を保有。
エアコンが冷える仕組み
エアコンは空気の熱を室内機と室外機の間で移動させるという仕組みで動いています。
エアコンから冷たい風が出る仕組みは、以下の通りです。
- 冷媒の循環:
エアコンには「冷媒」と呼ばれる物質が封入されています。この冷媒は、液体と気体の状態を変化させることで熱を吸収したり放出したりすることができます。 - 熱交換:
室外機と室内機にはそれぞれ「熱交換器」と呼ばれる部品があります。冷媒は、この熱交換器を通して空気中の熱を吸収したり放出したりします。 - 冷房運転:
冷房運転時、冷媒は室内機の熱交換器で空気中の熱を吸収し、気化します。この気化した冷媒は室外機に送られ、そこで熱を放出して再び液体に戻ります。 - ファンの役割:
室内機にはファンが内蔵されており、熱交換器で冷やされた空気を室内に送り出します。これが私たちが感じる「冷たい風」です。
これが、エアコンから冷たい風が出てくる仕組みです。
このようにエアコンは少し複雑なメカニズムで動いているため、ちょっとしたことが原因で冷房の効きが悪くなってしまうことがあります。
自分でできる!エアコンが冷房が効かない時の点検項目
エアコンの冷房の効きが悪くなってしまっても、簡単な設定やメンテナンスをやり直せば、エアコンが元通り効くようになる可能性があります。
まずは、以下の3つの部分をチェックしてみましょう。
- リモコンの設定: 運転モードや設定温度、風量、風向きなどを確認します。
- 室内機: フィルターの汚れや吸込口、吹出口の汚れなどを確認します。
- 室外機: ファンの回転や周りの環境、霜取り運転の有無などを確認します。
具体的なチェック項目については、以下で詳しく解説していきます。
リモコンの設定(4項目)
リモコンは、エアコンに指示を出すための重要なパーツです。
エアコンは設定項目が多いため、設定ミスなどが原因で冷房が弱くなってしまっていることがよくあります。リモコンを手に取って一つ一つボタンを操作しながら読み進めていって下さい。
リモコンについては、以下の4つのポイントをチェックして設定が正しいかどうか確認しましょう。
エアコンが効かない場合は、運転モードが間違っていることが原因かもしれません。運転モードが間違っていると、いくらエアコンを動かしても、冷房の場合は冷たい風が出ないままになってしまいます。念のため、リモコンの運転切り替えボタンを押して、運転モードを切り替えてみて下さい。
季節 | 運転モード |
---|---|
真夏 | 冷房、または自動 (除湿は梅雨の時期のみ) |
真冬 | 暖房、または自動 |
運転切り替え直後は2~3分ほど風が出てくるまで時間がかかりますので、しばらく待つようにしましょう。
エアコンは部屋の温度が設定温度になると運転を停止する仕組み(送風運転のみ、室外機は停止)になっています。
エアコンが効かない場合は設定温度をいつもより低めに設定し、エアコンが連続運転するようにしておきましょう。
季節 | 設定温度 |
---|---|
真夏 | 26℃以下 |
真冬 | 23℃以上 |
風量が「微風」や「弱」になっていると、エアコンの運転効率が低下し、冷風の量が減ってしまいます。冷房を最大能力で運転するには、風量を「最大」や「自動」に設定する必要があります。
風量を弱くすると、室外機の中にある冷媒ガスを送り出すための圧縮機の回転数も下がってしまいます。エアコンは冷媒ガスをたくさん循環させた方が能力が上がりますので、風量は強めに設定することをおすすめします。
風量を変更するには、リモコンの「風量調節」ボタン(機種によって名称が異なる場合があります)を押します。
風量設定の目安
- 自動: エアコンが自動的に風量を調節します。
- 弱: 静かな運転を希望する場合や、就寝時に
- 中: 通常の運転に
- 強: 部屋を素早く冷やしたい場合
風量と電気代・運転音の関係
風量を強くすると、冷房能力は高まりますが、電気代も高くなる傾向があります。また、運転音も大きくなるため、状況に合わせて適切な風量を選びましょう。
電気代を節約するために省エネモード(控えめ運転など)を設定している場合、冷房能力が弱くなってしまうことがあります。
省エネモードを解除し、逆にハイパワーモードなどに設定してみましょう。
省エネモードは、エアコンの消費電力を抑える機能ですが、冷房能力も制限される場合があります。 リモコンの「省エネ」ボタン(機種によって名称が異なる場合があります)を押して、省エネモードを解除してみましょう。
また、機種によっては「ハイパワー」モードなどが搭載されている場合があります。ハイパワーモードは、通常よりも高い出力で運転することで、部屋を素早く快適な温度にすることができます。
省エネモードとハイパワーモード:メリットとデメリット
モード | メリット | デメリット |
---|---|---|
省エネモード | 電気代を抑えられる | 冷房能力が低下する場合がある |
ハイパワーモード | 部屋を素早く冷やせる | 電気代が高くなる傾向がある |
室内機の確認(2項目)
エアコンの室内機は、室外機から送られてくる冷媒ガスを使って吸い込んだ空気を冷やして吹き出すという仕組みで動いています。
室内機は風周りが悪くなると冷房の効きが悪くなるため、以下の内容を確認していきましょう。
エアコンフィルターにホコリや汚れが溜まってしまうと、室内機が空気をうまく吸い込むことができなくなり、冷房の効きが悪化します。
- 前面パネルを開けてフィルターの汚れ具合を確認しましょう。
- 汚れている場合はフィルターを掃除してください。(掃除機でホコリを吸い取ったり、水洗いしたりする方法があります。)
お掃除機能付きエアコンの場合は、ダストボックスなどがホコリで満タンになってしまっていないかも確認しましょう。ダストボックスがいっぱいになっていると、フィルターの掃除機能が正常に働かなくなる可能性があります。
エアコンの効きを良くするには、室内機の風周りの状態が重要です。
- 室内機の真下に家具などが置かれている場合、吹き出された風が部屋中に行き渡りにくくなり、冷暖房の効きが悪くなります。
- 吸込口(上面)にカーテンが被さってしまったり、室内機の天面に被せるタイプのエアコンフィルターを取り付けている場合は、そのフィルターにホコリが溜まっていてうまく空気が吸い込まれなくなっていることもあります。
エアコンの風の吸込みや吹き出しを邪魔するものがないか、一度確認してみましょう。
室外機の確認(2項目)
エアコンの室外機は、背面から外気を吸い込み、冷媒ガスの熱を吐き出す役割があります。そのため、室外機は常に新鮮な空気を取り込み続けなければ、熱のやり取りがうまくできなくなり、室内機に送られる冷媒ガスの質も下がってしまうことになります。
一度室外機の状態を確認し、ファンの回転や風の流れを邪魔するようなものがないか、以下の内容をチェックしてみましょう。
室外機のファンの動きが鈍くなると、エアコンの効きが悪くなってしまいます。植物やゴミなどの異物が室外機の中に入り込んでファンの動きを邪魔していたりしないか確認してください。
室外機のファンが全く回っていないような場合は、こちらの記事が参考になります。
室内機と同様に、室外機の風周りが悪くなるとエアコンの冷房能力が弱くなってしまいます。室外機の周りにたくさん物が置かれている場合は、それらを別の場所に移動するなどして片付けましょう。
室外機の排気口を覆うようなエアコンカバー(木製のラティスタイプなど)も風周りが悪くなる原因となりますので、エアコンを使っている時は取り外した方が良いでしょう。
自主点検後の冷房の効きのチェック手順
エアコンの点検お疲れ様でした。
ここで一度エアコンの吹き出し口に手をかざして、ちゃんと冷風が出ているか確認してみてください。
ここまでの手順でエアコンの効きが戻った場合、しっかりと冷やされた風が手を押し返すぐらいの勢いで吹き出してきているはずです。
この時点でまだ風が弱い、または風が冷たくないという場合、もう少し本格的な点検(場合によっては修理)が必要となってきますので、記事の後半でお話していきます。
エアコンのリセット方法
エアコンが効かない場合は、エアコン本体のリセットを試してみましょう。
エアコンは、強いノイズを受けたり、ちょっとしたことが原因で誤作動を起こし、ちゃんと動かなくなることがあります。 上記の内容を確認してもエアコンが動かない場合、一度下記の手順で本体をリセットしてみてください。
エアコンのリセットは、リモコンのボタンではなく、電源プラグを抜いて行います。リモコンのリセットボタンは、リモコンの電池交換後などに使用します。
エアコンのリセット手順
【手順1】エアコンの電源を切る
エアコンが動いている場合は、リモコンでエアコンの電源を切りましょう。運転ランプやタイマーランプが点滅して、既にエアコンの動作が停止している場合は、そのまま次のステップに進んでください。
【手順2】室内機の電源コードを抜く
エアコンの電源コードを抜きましょう。
電源プラグが高いところで抜き差ししにくい場合などは、分電盤の中にあるエアコン回路のブレーカーを落としても構いません。
- エアコンのブレーカーは、ラベルに「エアコン」や「AC」と記載されていることが多いです。
- ブレーカーを操作する際は、感電しないよう、乾いた手で操作し、金属部分に触れないように注意してください。
- ブレーカーのマークの意味は「ー」で通電、「◯」で開放(電気を遮断)となっています。
ルームエアコンの場合、電源は室内機側のコンセントのみとなっていますので、ここまで作業ができたらエアコンに流れる電気は遮断できたことになります。
【手順3】5分ほど経過したらに電源を入れ直す
エアコンの電源を落としてから5分ほど経過したら、コンセント(ブレーカー)を挿し入れてください。これでエアコンのリセットは完了です。もう一度エアコンを起動して室外機の動きをチェックしてください。
ルームエアコンの場合、電源コンセントは室内機のところに一箇所しかないため、この操作を行うことで、室内機だけではなく室外機の方も同時にリセットすることができます。
応急運転ボタンによる動作確認方法
エアコン本体に問題がないかを確認するために、「応急運転ボタン」を押してみましょう。
応急運転ボタンは、エアコン本体にある、通常は小さくて目立たないボタンで、リモコンを使わずにエアコンを起動できる機能です。
応急運転スイッチの使い方
ルームエアコンには「応急運転スイッチ」というものが室内機本体の下側や前面パネルを開いたところについていて、この応急運転スイッチを使えば、リモコンを使わずにエアコンを起動する事ができます。
- 取扱説明書をよく読み、応急運転ボタンの位置を確認します。
- ボタンが小さい穴に隠れている場合は、細い棒などを使って押します。
- 応急運転ボタンを押すと、エアコンが起動します。起動する運転モードや設定温度は、メーカーや機種によって異なります。
応急運転後の確認
エアコンの応急運転を行った後、以下の点を確認してください。
- 室外機が動き出したか
- 冷たい風が出ているか
応急運転スイッチでエアコンを起動しても効きが悪い、またはエアコンのランプが点滅してちゃんと動かない場合、エアコンにエラーが発生してる可能性が高いでしょう。
スマート診断ナビ(使用年数や設置状況などを入力するだけで、簡単に診断できます)で、エアコンが修理できるかチェックしてみよう!
エアコンの風が冷たくない原因:ガス漏れ、室外機の汚れ…
エアコンから吹き出してくる風がぬるい(冷たくない)原因は、ガス漏れ、室外機の汚れ、コンプレッサーの性能低下などが考えられます。
冷媒ガス回路にエアコンが効かなくなる原因がある可能性が高いでしょう。
【原因1】冷媒ガス漏れ
エアコンの効きが悪いと感じたら、ガス漏れを疑ってみましょう。
ガス漏れのサイン
ガス漏れには、次のようなサインがあります。
- 夏場の冷房運転時、室外機の配管(細い方)に霜が付着する。
- 暖房運転時、室外機周りの環境に問題がないのに、温風の温度が低い。
ガス漏れの原因
ガス漏れの原因はさまざまですが、主な原因は以下の点が挙げられます。
- 配管の接続部分からの漏れ
これは、エアコンの取り付け工事の不良や、中古エアコンを購入した場合、引っ越しなどで配管を再利用した場合などに起こりやすいです。 - 配管の腐食による漏れ
海岸地域や温泉地など、塩分や硫黄成分が多い空気の場所に設置されているエアコンや、下水配管にドレンホースを取り付けている場合などは、配管が腐食しやすくなります。 - 熱交換器、電磁弁、コンプレッサーなどの部品からの冷媒漏れ(稀)
ガス漏れの修理
ガス漏れかな?と思ったら、専門業者に点検を依頼しましょう。お近くの電気屋さんや、ダイキンエアコンのサービスセンターに相談することをおすすめします。
ガス漏れ修理の料金相場
修理費用は、漏れの箇所や程度によって異なります。
- 配管の接続部分の修理:1~3万円
- 配管の腐食など、配管自体を交換する必要がある場合:8~17万円
ガス漏れを予防するには
ガス漏れを予防するためには、次の点に注意しましょう。
- 定期的な点検:
エアコンの点検を定期的に行い、ガス漏れやその他の異常がないか確認しましょう。 - 室外機の設置場所:
直射日光や雨風を避け、振動の少ない場所に設置しましょう。 - エアコンの適切な使用:
適切な設定温度で運転し、定期的な清掃を行いましょう。
エアコンの効きが悪い、配管に霜がつく、異音(シューという音)がする、電気代が高くなったなど、ガス漏れかな?と思ったら専門業者に点検を依頼しましょう。
【原因2】室外機の汚れ
室外機の汚れも、冷暖房の効きが悪くなる原因の一つです。
室外機の汚れによる影響
室外機のフィン部にホコリなどが溜まると、空気を十分に吸い込めなくなります。 その結果、室外機で十分な熱のやり取りができなくなるため、室内機から吹き出す空気の温度がぬるくなります。
室外機の掃除方法
室外機の裏側にゴミや落ち葉などの異物がある場合は、自分で取り除くことができます。
- エアコンの電源を切りましょう。
- アルミフィンで手を切らないように手袋を着用するなどして、注意しながらゴミや落ち葉を取り除きましょう。
エアコン配管をつなげたまま室外機を動かすと、ガス漏れの原因となる可能性があるので、注意が必要です。
汚れが酷い場合は、室外機を分解して本格的にクリーニングする必要があります。 この場合は、無理に自分で掃除しようとせず、専門業者に依頼することをおすすめします。
室外機のクリーニングを業者に依頼するメリット
- 専門的な知識と技術:
クリーニング業者は、エアコンの構造やクリーニング方法に関する専門的な知識と技術を持っています。そのため、安全かつ効果的にクリーニングを行うことができます。 - 徹底的な清掃:
室外機を分解して高圧洗浄機などの特殊な機材を使用し、フィンに詰まったホコリやカビ、油汚れなどを徹底的に除去します。 - 時間と労力の節約:
自分で掃除する手間を省き、時間と労力を節約できます。 - エアコンの寿命を延ばす:
定期的なクリーニングは、エアコンの性能を維持し、寿命を延ばす効果も期待できます。
室外機のクリーニング費用
- 壁掛けエアコン1台のクリーニング:8~9千円
- 壁掛けエアコン1台(お掃除機能付き)のクリーニング:1.4~1.6万円
- 室外機洗浄(オプション):3~4千円
室外機周りの注意点
- 室外機のまわりに植木鉢や木製カバーなどを置くと、風通しが悪くなり、冷暖房効率が低下する可能性があります。
- 雑草が生い茂り、室外機の風の通りを邪魔する場合は、定期的に草刈りを行いましょう。
- 室外機が雪を吸い込んでしまうと、風が通らなくなり、冷暖房効率が低下する可能性があります。
基本的にルームエアコンの室外機はノーメンテナンスでいける場合が多いですが、設置環境が悪い場合は定期的なメンテナンスを行う必要があります。
【原因3】圧縮機の摩耗劣化
圧縮機は、冷媒ガスを圧縮して高温・高圧にすることで、冷媒が熱を輸送できる状態を作り出す重要な部品です。
圧縮機の経年劣化
圧縮機は長年使用していると、内部の部品が摩耗したり、潤滑油が劣化したりするため、徐々に性能が低下していきます。 圧縮機の性能は、年に3~4%ずつ低下していきます。10年以上経過すると、能力(効率)が30~40%低下します。
近年のエアコンには、圧縮機の回転数を調整する機能が搭載されています。そのため、多少の性能低下であれば、回転数を上げることでカバーできます。しかし、劣化が進んでしまうと、いくら回転数を上げても十分な圧縮能力を得られなくなり、風がぬるくなります。
特に、外気温が低い冬場は、圧縮機の性能低下が顕著に現れます。外気温が5℃以下になると、圧縮機が十分に機能せず、暖房が効かなくなるケースが増えてきます。
圧縮機の交換時期
圧縮機の交換時期の目安は、一般的に10年~15年程度と言われています。 ただし、使用頻度や環境によって劣化の速度は異なるため、上記の目安はあくまでも参考としてください。
圧縮機の交換費用
圧縮機の交換修理には、ロウ付け作業が必要となるため、費用が高額になります。 費用相場は、8~17万円程度です。
圧縮機の交換の際の注意点
圧縮機の交換は、専門的な知識や技術、専用の工具が必要となります。 そのため、ご自身で交換しようとせず、必ず専門業者に依頼しましょう。
古いエアコンの場合、圧縮機を交換しても、他の部品が劣化している可能性があり、再び故障する可能性があります。そのため、10年以上経過したエアコンの場合は、修理ではなく買い替えを検討する方が、長期的なコストパフォーマンスの面で優れていると言えるでしょう。
圧縮機の交換とエアコンの買い替え
圧縮機の経年劣化が原因で冷暖房の効きが悪い場合は、買い替えを検討しましょう。 新しいエアコンは、省エネ性能が高く、電気代を節約できるだけでなく、快適な室温を保つことができます。
制御基板や配線の故障
エアコンには、制御基板(エアコンの頭脳)と呼ばれるコンピューターのような部品が、室内機と室外機のそれぞれに搭載されています。
この制御基板は、ファンモーター(風を送るためのモーター)、圧縮機(冷媒ガスを圧縮して循環させるポンプのようなもの)など、エアコンの様々な部品に指示を出して、全体をコントロールしています。
この制御基板や、基板とパーツをつなぐ配線などが壊れると、エアコンの電源が入らなかったり、室外機が動かなくなったりします。
制御基板の故障は、長年の使用による基板の割れや、繰り返し熱が加えられることによる半田の剥がれ、基板上にあるパーツの寿命などが原因となります。
制御基板の故障を防ぐためには
- 適切な使用:
エアコンを適切な設定温度で運転し、過度な負荷をかけないようにしましょう。 - 設置場所:
直射日光や高温多湿の場所を避け、風通しの良い場所に設置しましょう。
制御基板の修理費用
制御基板が故障した場合、修理費用の相場は、おおよそ以下の通りです。
- 室内機側の制御基板の場合:10,000~35,000円
- 室外機側の制御基板の場合:10,000~35,000円
この他に、室外機内にある基板の故障の場合についても、おおよそ上記の見積相場となります。
制御基板の修理手順
- エアコン動作の症状やエラーコードなどから制御基板の故障が原因であることを確定します。
- 部品をメーカーなどに発注します。
- 部品到着後に基盤を交換します。
パーツの在庫がある場合は数日中に修理が完了することになりますが、メーカーから部品を取り寄せる場合は、部品が到着するまで1~2週間かかることもあります。
吹き出す風が弱い原因:エアコン内部の汚れ…
室内機から吹き出される風量が弱い場合の主な原因はエアコン内部の汚れです。
室内機の風周りにエアコンが効かなくなる原因がある可能性が高いでしょう。
原因1:エアコン内部の汚れ
エアコン内部の汚れも、風量が弱くなる原因の一つです。
風量低下の原因
- フィルターの目詰まり
- エアコン内部の汚れ(アルミフィン、送風ファンなど)
汚れによる影響
- アルミフィンにカビや汚れが付着すると、空気の流れを阻害し、風量が低下します。
- 送風ファンのフィンにホコリやカビが付着すると、風量が低下します。
汚れがひどい場合、アルミフィンや送風ファンの空気流路を完全に塞いでしまい、ゴー・・・という送風音や振動が発生する場合もあります。
エアコン内部の掃除方法
エアコン内部の汚れが気になる場合は、掃除をすることで風量を改善できる可能性があります。
フィルターの掃除
フィルターの掃除は、比較的簡単に行うことができます。
- エアコンの電源を切り、コンセントを抜きます。
- 前面パネルを開け、フィルターを取り外します。
- 掃除機でホコリを吸い取るか、水洗いします。
- 水洗いした場合は、十分に乾燥させてからフィルターを元に戻します。
- 前面パネルを閉め、コンセントを差し込みます。
フィンやファンの掃除
フィンやファンの掃除は、フィルターの掃除に比べて難易度が高いため、専門業者に依頼することをおすすめします。
エアコンクリーニング業者に依頼する
エアコンクリーニング業者に依頼する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 業者の選び方:
複数の業者に見積もりを依頼し、料金やサービス内容を比較検討しましょう。口コミや評判を参考にすることも有効です。 - 依頼する際の注意点:
作業内容や料金について、事前にしっかりと確認しておきましょう。作業中のトラブルを防ぐために、濡れたら困るものや貴重品は別の場所に移動しておきましょう。
エアコンクリーニングのメリット
エアコンクリーニングには、以下のようなメリットがあります。
- 風量改善:
エアコン内部の汚れを落とすことで、風量を改善することができます。 - エアコンの効き改善:
フィンやファンの汚れを落とすことで、エアコンの効きを良くすることができます。 - 電気代の節約:
エアコンの効率が上がることで、電気代の節約につながります。 - アレルギー対策:
カビやホコリを除去することで、アレルギーの原因となる物質を減らすことができます。 - エアコンの寿命を延ばす:
エアコン内部を清潔に保つことで、エアコンの運転率が下がり、寿命を延ばすことができます。
エアコンクリーニング費用
- 壁掛けエアコン1台:8~9千円
- 壁掛けエアコン1台(お掃除機能付き):1.4~1.6万円
- 室外機洗浄(オプション):3~4千円
エアコンの風量低下は、快適性を損なうだけでなく、エアコンの効率を低下させ、電気代の増加にもつながります。また、カビやホコリはアレルギーの原因となることもあります。エアコンの風量が低下してきたと感じたら、早めにエアコンクリーニングを行うことをお勧めします。
プロが解説!エアコンの冷房が効かないに関するQ&A
エアコンの冷房が効かないという不具合症状に対してよくある質問への回答を紹介します。
- Qエアコンの効きが悪いのに、電気代が高くて困っています。原因は何でしょうか?
- A
エアコンの効きが悪く、電気代が高いのは、いくつかの要因が考えられます。大きく分けて、エアコン本体、お部屋の環境、そして使い方の3つの視点から原因を探ってみましょう。
1. エアコン本体の問題
- フィルター目詰まり: エアコンのフィルターが目詰まりすると、空気の通りが悪くなり、冷暖房効率が低下します。フィルターは月に1~2回、定期的に掃除しましょう。
- 室外機の設置環境: 室外機の周囲に障害物があると、熱交換がうまくいかず、エアコンの効率が低下します。室外機周りは整理整頓し、風通しを良くしましょう。
- 冷媒ガス漏れ: 冷媒ガスが漏れていると、エアコンの冷暖房能力が著しく低下し、電気代も高くなります。ガス漏れの場合は、専門業者に点検・修理を依頼しましょう。
- エアコンの能力不足: お部屋の広さに対してエアコンの能力が不足している場合、エアコンは常にフル稼働してしまい、電気代が高くなります。エアコンを選ぶ際は、お部屋の広さに合った能力(畳数)を選びましょう。
- 古いエアコン: 古いエアコンは、最新の省エネモデルに比べて消費電力が大きいため、電気代が高くなる傾向があります。また、エアコンの心臓部である圧縮機の摩耗劣化が進み、冷暖房効率も低下している可能性があります。10年以上使用している場合は、買い替えを検討してみましょう。
2. お部屋の環境
- 断熱性能の低さ: 窓や壁の断熱性能が低いと、外気の影響を受けやすく、エアコンの効きが悪くなります。断熱性能を高めるためには、窓をペアガラスにしたり、内窓を設置するなどの対策が有効です。
- 日差しの入り方: 日差しが強く差し込む部屋は、室温が上がりやすく、冷房の負担が大きくなります。遮光カーテンやブラインドを使用するなどして、日差しを遮りましょう。
3. 使い方
- 設定温度: 設定温度と室温の差が小さいほど、エアコンは多くの電力を使います。冷房時は27~29℃、暖房時は21~24℃を目安に設定しましょう。
taichan上記以外にも、エアコンの故障や設置環境(お部屋の構造)の問題など、様々な原因が考えられます。 自分でできる対策を試しても改善が見られない場合は、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
- Qエアコンの故障を未然に防ぐ方法はありますか?
- A
エアコンを長く快適に使うためには、日頃からのメンテナンスと、トラブルを未然に防ぐための環境づくりが大切です。具体的な方法を見ていきましょう。
1. 定期的な清掃
- フィルター清掃: フィルターが目詰まりすると、エアコンの効率が低下し、電気代が増加するだけでなく、故障の原因にもなります。具体的には、圧縮機に負担がかかり、摩耗が早まることで効率が低下します。少なくとも月に1回はフィルターを取り外して掃除機で埃を吸い取り、汚れがひどい場合は水洗いしてください。
- 室外機の清掃: 室外機は、周囲にゴミや落ち葉などが溜まっていると、空気の循環が悪くなり、故障の原因になります。定期的に周囲を掃除し、風通しを良くしましょう。
2. 適切な使用
- 長時間の高負荷運転の抑制: 長時間の高負荷運転は、エアコンの寿命を縮める原因(圧縮機の摩耗)になります。設定温度を極端に低く(高く)するような使い方は避けるようにしましょう。
taichan最近のエアコンは圧縮機のインバータによる可変速駆動と低速運転における効率改善により、低負荷でも高効率な運転ができるようになってきています。エアコンを交換するタイミングで、部屋に対して少し能力の大きなエアコンを取り付け、エアコンの稼働率を下げることで、寿命を伸ばすことができます。
3. 定期的な点検
- 試運転: シーズン前に試運転を行い、異音や異常がないか確認しましょう。
taichan真夏にエアコンが壊れてしまうと、修理が混み合っているため、直るまでに時間がかかってしまいます。エアコンの故障はシーズン前の試運転で早期発見し、早めに対処しておくのがポイントです。
4. その他
- 設置場所: 直射日光が当たる場所や、雑草が生い茂るような害虫や小動物が多い場所にエアコンを設置するのは避けましょう。また、海に近い場合は塩害仕様、雪が積もる場合は寒冷地仕様のエアコンを選びましょう。
- 電源: 落雷の多い地域の場合、雷によってエアコンが故障することがあります。雷が多い地域の場合、家の分電盤に避雷器(雷によるコンセントへの影響を軽減する機器)を取り付けておくと安心です。なお、避雷器の取り付け作業には電気工事士の資格が必要となりますので、お近くの電気屋さんに問い合わせてみましょう。
taichan分電盤に避雷器を取り付けておけば、落雷による家電製品の故障を未然に防ぐことができます。
まとめ
この記事では、エアコンの冷房が効かない原因と、自分でできる対処法、そしてプロに修理を依頼すべきタイミングについて詳しく解説しました。
エアコンのトラブルは、放置するとさらに悪化したり、電気代が無駄にかかったりする可能性があります。
エアコン本体のリセットや応急運転ボタンによる強制始動をしても動き出さない場合は故障が疑われますので、早めに点検してもらうことをおすすめします。
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エアコンのトラブル、もう悩まない!解決への3ステップ
エアコンの調子が悪いと感じたら、まずは落ち着いて状況を把握しましょう。
電源が入らない、ランプが点滅する、異音がする、冷風が出ない、水が漏れる…など、具体的な症状は何でしょうか?
慌てずに、これからご説明する3つのステップに従って、ひとつずつ問題を解決していきましょう。
ステップ1:状況確認と原因特定
不具合の具体的な症状(例:冷えない、異音がする、水漏れするなど)を把握しましょう。そして、エアコンの不調の原因を探ります。取扱説明書を確認したり、簡単なセルフチェックを試してみることで、自分で解決できることもあります。
エアコンの調子が悪いときは、まずこちらで不具合内容をチェック!
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ステップ2:修理の可否
エアコンの使用年数から、エアコンの修理が可能かどうかを判断します。保証や修理費用確認費用などを調べましょう。
修理を依頼する前に、まずは修理が可能かどうかを確認することができます。
>>修理はできる?診断したい方はこちら
ステップ3:業者選び
修理または買い替えを依頼する業者を選びます。 メーカーのサービスセンター、家電量販店、街の電気屋さんなど、様々な選択肢があります。 費用やサービス内容を比較検討し、信頼できる業者を選びましょう。
信頼できる業者を見つけるためのヒントはこちら
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