冷媒ガス漏れ

ルームエアコンの冷媒ガス漏れを自分で修理する方法


エアコン内に残っている冷媒量を推定する方法

ガス漏れ検知器は、エアコン内にまだ冷媒ガスが残っている状態で活用するものです。

そのような機器を使う(購入する)前に、エアコンの中に残っている冷媒量を推定し、エアコンの中にざっくりとどれぐらいの冷媒が残っているのか、調べておきましょう。

まず、基礎知識として、R410a冷媒を使ったエアコン(規定冷媒量1000g)で、冷媒が抜けた状態で運転したエアコンの各部の温度や圧力(参考値)は以下のようになります。

R410a冷媒量別のエアコン運転状態(参考値)

冷媒量
[g]
低圧圧力
[MPaG]
室内機
吸込吹出

温度差
[℃]
室外機
戻り配管

温度
[℃]
250
(25%)
0.101.727
500
(50%)
0.628.627
750
(75
%)
0.7212.813
1000
(100%)
0.7613.16

※1 運転モード;冷房
※2 圧縮機回転数;全速(設定温度;最低、設定風量;最大、室温>>設定温度)

着目してもらいたいのは、冷媒量が規定量近く(75~100%)の状態だと、室内機の吸込み温度と吹出し温度の差が十分に大きい(約10℃以上、室内機から冷たい風がでてくる)のに対し、冷媒量が25%ぐらいになってくるとその差がほとんどなくなってきている(エアコンの室内機の風がぬるい)のがわかると思います。

また、室外機の戻り配管温度(太い方の配管)の温度も、しっかりと冷媒が充電されている場合は5℃前後になっているのに対し、冷媒が抜けていくに従って室温に近い温度になっていくことが分かります。

一度、温度計などを使って、冷媒漏れの疑いのあるエアコンで強冷房運転時(設定温度;最低、設定風量;最大、室温>>設定温度)の室内機の吸込み温度、吹出し温度、そして戻り配管の温度を測定し、そこからどれぐらいの冷媒がエアコン内に残っているか推定してみてください。

非接触タイプの温度計で配管温度測定

温度測定には、ホームセンターなどで売られているような非接触タイプのもの(約2000円)があると便利だと思います。

例えば、これによってまだ冷媒が50%ぐらいはエアコン内に残っていそうな場合、前のページでお話したようなガス漏れ検知器などを使って、冷媒漏れの箇所を特定することができるでしょう。

冷媒ガス漏れを検知するリークディテクター

逆に、冷媒が25%以下になってしまっているような場合は、もしかしたら先ほど紹介したようなガス漏れ検知器などではガス漏れ箇所を見つけ出すことが難しいかもしれません。

このような場合は、少しガス漏れ箇所を見つけ出すのが難しくなり、例えば、冷媒漏れがありそうな接続箇所を全てやり直すとか、ガス漏れ検知器に反応するようなガスをエアコン内に充填した後にガス漏れ検知器でガス漏れ箇所を調べたりします。

なお、エアコンの冷媒ガス漏れは配管の繋ぎ目やキャップ部などから微量に漏れることが多いのですが、稀に配管そのものが腐食したり、部品が破損したりして冷媒漏れを起こしていることもあります。

この記事では、冷媒漏れ修理としては比較的簡単な部類にとなるエアコン取り付けから数年が経過した後、徐々にエアコンの効きが悪くなってきたというような、配管の繋ぎ目などからの微量なガス漏れ修理をターゲットにしていきます。

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冷媒ガスが漏れ出しやすい箇所について

エアコンの冷媒ガス漏れ箇所を調べるには、冷媒ガスが漏れやすい箇所を知っておく必要があると思います。

エアコンの冷媒ガスが漏れ出しやすい箇所は、以下の通りです。

【冷媒ガス漏れ箇所その1】配管の繋ぎ目(4箇所)

家庭用のエアコンの配管は、このような感じでフレア加工された銅管をナットで締め込むという形で接続されています。

エアコンの配管の繋ぎ目から冷媒ガスが漏れ出す

この接続がうまくいっていないと、以下のような感じで冷媒ガスが漏れ出してきてしまうことになります。(ガス漏れ検知材を吹きかけた写真)

泡で冷媒ガス漏れを見つける

基本的に家庭用エアコンの場合の配管の接続箇所は、室外機側に2箇所と室内機側に2箇所の合計4箇所だけです。

室外機側の配管接続箇所

室外機のカバーを開いたところ

室内機側の配管接続箇所

エアコンの室内機側の接続箇所

室外機側に関しては、このような感じで接続箇所を冷媒ガス漏れ検知器を当てていけば、ガス漏れを見つけ出すことができます。

冷媒ガス漏れを検知するリークディテクター

室内機側は、配管そのものがカバーの中に隠れていることが多いため、室内機付近の配管カバー(断熱材やビニールテープ)に切れ込みを入れ、そこにガス漏れ検知器を挿入するというやり方でガス漏れの有無を確認することができます。

室内機側の配管カバーに切れ込みを入れる

室内側の冷媒ガス漏れチェック

【冷媒ガス漏れ箇所その2】室外機のキャップカバー(3箇所)

配管の接続箇所以外にも、室外機に3箇所あるフレアーシールキャップ(六角キャップ)からも冷媒が漏れ出している時があります。

エアコン室外機のバルブキャップからの冷媒漏れ

というのも、上記のフレアーシールキャップを取り外して、その中にあるバルブのあたりを冷媒ガス漏れ検知器で探ってみると、ほんの微量ではありますが冷媒が漏れ出していることが分かります。

エアコンバルブからの冷媒漏れ

エアコン室外機のバルブ部からの冷媒ガス漏れ

この部分は、何らかの理由でフレアーシールキャップが緩んでいると、微量なガス漏れが発生しますので、フレアーシールキャップが締まった状態で、ガス漏れが発生していないかを確認しておきましょう。

これらの室外機や室内機の配管接続部(4箇所)とフレアーシールキャップ部(3箇所)を確認すれば、冷媒漏れの場所が見つかるでしょう。

基本的には、冷媒漏れが発生する確率(配管接続などが上手く行っていない確率)はかなり低いものなので、冷媒漏れを1箇所発見できれば、ほぼほぼそれが冷媒漏れの原因だと断定してもいい(2箇所同時に冷媒漏れしていることはないと考えてOK)でしょう。

ガス漏れ箇所が特定できなければ、冷媒漏れを修理することができませんので、上記の場所を念入りにチェックしてみてください。

次のページでは、具体的な冷媒ガス漏れの修理方法についてお話していきたいと思います。

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